anttiorbの映画、映像の世界

不定期で、旅ブログも立ち上げます!

十二単衣を着た悪魔

2020年作品、黒木瞳監督、伊藤健太郎 三吉彩花 伊藤沙莉 田中偉登出演。

「超一流の弟に、一段低い二流の兄貴か……」伊藤雷(伊藤健太郎は思わずそう呟いた。 彼は日雇いのバイトで「『源氏物語』と疾患展」の設営に参加、イベント会場に流れる『源氏物語』の登場人物紹介で「デキた弟・二宮」と「後塵を拝した長男・一宮」の関係を知り、シンパシーを抱いたのだった。 なぜならば、同じく弟の水(細田佳央太)は頭脳明晰かつ眉目秀麗で、かたや自分は現在、就職試験59連敗中のフリーターの身。 かねてからのコンプレックスを一層こじらせている日々なのである。
バイト後、恋人と顔を合わせたのだが何とフラれてしまい、おまけに帰宅途中、近所の知り合いの山下元子(LiLiCo)から弟が京大医学部へ合格したことを教えられて、卑屈さはMAXに!  祝賀会が開かれる実家に帰るのはバツが悪く、バイトの土産でも らった手提げ袋を持ったまま、家の周囲をアテもなくうろつく始末。
その心の内と同期するように、空には雷鳴がとどろき、激しい雨に見舞われると、雷はバイト先でも目撃した不思議な光に吸い込まれて、気を失った……やがて目覚めて驚いた。
どういうわけかそこは1000年以上も前の平安時代、女流作家・紫式部によって書かれたあの『源氏物語』の世界であったのだ!!
タイムスリップしてしまった雷は当然、不審者と見なされ、烏帽子をつけ袴を履いた家臣たちに牢へと閉じ込められた。 思いも寄らぬことばかりでパニくったが、手提げ袋に入っていた『源氏物語』のあらすじ本のおかげで大まかな世界観を把握、口から出まかせで陰陽師・伊藤雷鳴を名乗り、さらにはこれもバイトの土産だった頭痛薬が皇妃(三吉彩花に効いて、後宮でまんまと陰陽師として重用されることになる。
皇妃の名は、弘徽殿女御。 彼女は現代のキャリアウーマン顔負けの逞しいハートと冷静な分析力で、「一宮」である息子(田中偉登)を帝にしようと野心に燃えていた。 皇位を争うのは一流の男、「二宮」こと異母弟の光源氏(沖門和玖)だ。 雷は自分の境遇を「一宮」と重ねつつ、辣腕で悪魔的に強き女性、“弘徽殿”に翻弄されながらも次第に触発され、運命を共にしようと決心する─。
 
この作品も公開を危ぶまれましたが。
監督は黒木瞳、「嫌な女」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/14268507 以来の監督作品です。
主演は伊藤健太郎、今はしばらく新作出演はないでしょうが、近作は「宇宙でいちばんあかるい屋根」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/2020/09/24/060000 では好青年役でしたね。
そして三吉彩花、「Daughters」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/2020/10/02/060000 が近作ですが、今作の弘徽殿女御は良かったですね。
 
物語は、就職が全く決まらず、弟は京大に合格。 そんな家にも帰りづらくなった雷でしたが、いきなりのカミナリで時空の裂け目に。 気が付くとそれは源氏物語の時代で、まさに光源氏のいる時代でした。 もちろん彼は異様な格好をした海外から来た人間と思われてしまい牢にぶち込まれます。
しかし病に浸っている皇妃を、持っていた薬で救い、そしてバイトでもらった源氏物語の物語のパンフレットで、これから起こることを予言して、陰陽師になりすまします。皇妃である弘徽殿女御に徴用され、彼の居場所が決まります。 そして弘徽殿の息子・一宮に自分を重ね、彼女のブレーンになって行き、そして妻も紹介されます。
 
今作はちょっと前作でも感じましたが、監督の色が色濃く出ている作りでした。 ただのタイムトラベルではなく、ある意味主人公の成長譚になっていて、現代に戻ってもぎくしゃくするところまで描くんですね。 ラストは爽やかに終わりましたが。
 

f:id:anttiorb:20201112190048j:plain

母は、雷の理解者だが

 

f:id:anttiorb:20201112190050j:plain

就職が決まらずバイトで源氏物語と出会う

 

f:id:anttiorb:20201112190054j:plain

いきなりの落雷で

 

f:id:anttiorb:20201112190112j:plain

源氏物語の世界に

 

f:id:anttiorb:20201112190108j:plain

そこで陰陽師を名乗り

 

f:id:anttiorb:20201112190121j:plain

彼女の病を治す

 

f:id:anttiorb:20201112190125j:plain

そして徴用される

 

f:id:anttiorb:20201112190130j:plain