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本を作る男-シュタイデルとの旅

2010年作品、ゲレオン・ヴェツェル、ヨルグ・アドルフ監督、ゲルハルト・シュタイデル主演。

世界一美しい本を作る男、ゲルハルト・シュタイデル。 彼は今や電子書籍になりつつある出版界において、紙に拘り、材料に拘っている。
彼を知る者は決して彼が妥協しないことを知っている。 
彼はドイツの出版社・シュタイデル社の経営者だ。 隅々までに目を通し、本を作ろうとするものと綿密に打ち合わせをする。 彼にとって出版社はどちらかというと研究室である。 彼自身そう言っている。
彼を知る友人写真家のマーティン・パーとの話の中で彼は言う、 「本は量より質だ。 たとえ数が少なくてもいいモノを作る。 芸術家と一つ一つ突き詰めて本を作っていく。 だから信頼関係が生まれる。」
またシュタイデルによって発掘された芸術家もいる。 パーに彼は聞く、「世界で一番重要な出版社はどこか?」 パーは 「その時代時代で変わる。 60年だ、70年だはフランスのデルピール社、80年代はスイスのスカロ社、そして90年代はシュタイデル社だ。」 
そこですかさず彼は言う 「じゃあうちはもう終わったのかい?」 パーは 「油断禁物だな。 目新しさを追求して質を保つのだよ。」 そして二人は笑い合うのだった。
今も間違いなくシュタイデル社が最も世界で重要な出版社だと自負しているシュタイデルだった・・・

これはドキュメンタリー作品ですね。 おもに美術本を作成しているドイツのシュタイデル社、その社長であるゲルハルト・シュタイデルの行動を追っかけている映画で、地味な題材なのですが、面白かったです。
こんな出版社があるんですね。 一冊、日本円で数千円からそれこそ数万円する本をもちろん少ロットで作るために世界を飛び回り、ここにはこれをここにはこれをという感じで、仕事を依頼していき、決して妥協しないで本作りをするところが凄いですね。
本の種類もありますが、日本では発行部数が初めからある程度決められており、売れる物しか(要は一般受けするものしか)作らないんですね。 そんな状態がどんどん進んでいる中に、こういうようなドイツ人が日本にもいるのかな? と感じさせる番組でした。
いわゆる職人というやつですよね。 でも経営感覚ももちろん鋭く、本物のプロフェッショナルを見た思いでした。 こういうドキュメンタリーはもっと見たいですね。

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世界を歩くシュタイデル

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題材を、素材を求めて

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ここでもこだわりを求める

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彼の作る本は高価で、小ロット

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厳選された写真

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