anttiorbの映画、映像の世界

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旅する映写機

2013年作品、森田惠子監督、中村啓子ナレーション。

前作「小さな町の小さな映画館」の撮影中、北海道の小さな港町で90年以上も続いている映画館・大黒座の映写機が、札幌の映画館から譲り受けたものだと知った森田惠子監督が、全国の映画館や映写機のもとを旅してまわる。

大黒座の映写機は、札幌のジャブ70ホールという、映画ファンにはよく知られた映画館のものだった。 20年前、そこが閉館するとき、ちょうど建て替えの時期を迎えていた大黒座に紹介されてきた。 映写機は動き続けて、58年目を迎えている。

急速な勢いで映像データのデジタル配信化が進むなか、映画館の閉館が相次ぎ、同時に映写機も姿を消している。 現役の古い映写機を中心に記録しようと始まった旅だったが、映写機のない映画館を訪ねたり、映写機修理の様子を見学したり、東日本大震災の被災地で続けられているDVDプロジェクターでの巡回上映や、国立ハンセン病資料館に展示されている映写機も取材した。

50年位前までは一般的だったカーボン映写機も、現役で動いているものを探し当てた。幻の上映方法と言われている“流し込み”も撮影した。 映画館主で映写技師だった父親を見て覚えた技だという。 映写機を訪ねる旅は、映画館、あるいは映画館のある町を訪ねる旅になり、その町の暮らしに触れる旅になった。

どこの町にも、どこの映画館にも、懸命になって映画を見せようとがんばっている人たちがいて、人に映画を見せることを楽しんで、幸せを感じている人たちとの出会いがあった。

一昨年の春に書いた記事 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/15919387 を見ながらこの記事を書いています。 監督の作品は2作品見ていますが、どれも映画館を愛する、慈愛に満ちた作品です。
この記事の時のトークショーと終わった後のサイン会を記事に書いていますが、お声をかけさせていただいた時の優しい表情に、今後の街の映画館、そしてそれに携わる職人気質の方々が、どんどんいなくなっていく寂しさも吐露されていたことが、心にズンときたのを覚えています。


4月の監督の訃報はちょっとショックでしたね。 こんなに映画愛、映画館愛を持たれている森田監督が、もっと作品を作っていただき、日本にもう一回映画館に通う風を吹かせてくれる期待をしていた私にも、少しばかり心に穴が開き、すぐにこの作品でも描かれている川越スカラ座の追悼上映にはなんとか行こうと思い駆けつけさせていただきました。
スカラ座の受付の方に、「森田監督亡くなっちゃいましたね?」というと、「監督をお呼びできない上映は初めてです。」とお返事をいただき、ちょっとうるっと来ちゃいました。
森田惠子監督は天に召されてしまいましたが、作品は残ります。 来年の命日にはまた上映をしてほしいです。

それでは貴重な映画に携わる方たちのショットを


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