1980年、日本の東京。 ドイツ人記者(ピータートーマス・クレッチマン)は、同業の集まりでビールを呑みつつ、日本での平穏の日常にどこか物足りなさを感じていた。ピーターの記者魂は平和に飽き足らず、何かスクープをあげたい野心を抱いていたからだった。
記者仲間の情報から出た、韓国の光州のキナ臭い話にピーターは興味を抱く。 やがてピーターは韓国の金浦空港で、記者であることを隠して宣教師と偽り、訪韓を成し遂ることに成功した。 その後、彼はソウルのジャーナリスト仲間の紹介で、タクシー運転手をチャーターすることになる。
ソウルの個人タクシー運転手マンソプ(ソン・ガンホ)は、男でひとつで娘を育てているが、稼ぎが少なく家賃を滞納している。 大家の奥さんから、溜まった家賃を払うよう煩く言われるが、いないときの面倒は見てくれていて、大家のだんなとは仲がいい。
しかし食事をしている時、タクシー会社のドライバーが、大金をくれる外国人の話をしているのを聞いた。 光州まで乗せて行くと大金がもらえる、その言葉を聴いて、本来なら予約をしたタクシー運転手を出し抜いて待ち合わせの場所に行くマンゾブだった。
彼はサウジアラビアで働いたことがあり、多少の片言英語ができる。 個人タクシーと怪訝な表情をしたピーターだったが、英語ができることと、危険な仕事ということをマンソブが理解していると思い、彼の車に乗り込むのだった。
学生のデモくらいは知っていたマンソブだったが、大切な一人娘に新しい靴一足も購入してやる甲斐性もない彼は、何としてもお目当の高額なタクシー代を受け取りたい、ご機嫌な旅路と思っていた。 しかし、通行止めになっていて、軍が制圧している現状を見ると、途端に引き返したほうがという気持ちになる。
しかしそうなるとお金を払わないというピーターに、必死に光州への道を地元の人に聞き、山道を選択、途中の検問を突破し、光州に入る事に成功する。
しかし、事態に何も関心がない無頓着なマンソプだったが、閑散とした光州の街並みや、住民たちの必死な様子に少しづつ状況の異変を感じ、「危険だからソウルに戻ろう」 と言い出す。
しかし、ピーターはマンソプの言葉に一切耳は貸さず、カメラを回しはじめ、動画を撮っていくのだった。 ここで初めてピーターがジャーナリストだと気がつくマンソブ、そして想像以上の異常な弾圧の様相を見せている光州に愕然としていくのだった・・・
実際にあった光州事件、そして激しい軍の弾圧、そして虐殺、そしてドイツ人ジャーナリスト、後半はすさまじい大虐殺になって行きます。
監督はチャン・フン、「高地戦」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14173092.html という作品を見ていますが、この作品は韓国のある意味歴史のお話ですね。
主演はソン・ガンホ、「弁護人」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14561390.html 「密偵」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15240589.html と主演作を見ていますが、これも凄まじい作品でした。
そしてユ・ヘジン、「LUCK-KEY/ラッキー」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15096678.html は傑作ですが、彼の出演作は日本公開作品は多いです。
物語は韓国で有名な民衆が参加した国家との戦いですね。 全斗煥が軍事クーデターを起こし、それが過激な弾圧を呼び、その一番ひどかったのが光州だったそうです。
主人公のマンソブは、ソウルの個人タクシー運転手、光州がこんなになっているのは全く知りません。 どうやら行けないことくらいで、テレビも新聞もしっかりと統制されているんです。 わかるわけが無いんですね。
しかし海外では噂が立っており、欧米、日本では、どうやら韓国がきな臭いということが囁かれていたんですね。 ピーターは、刺激を求めて、そしてジャーナリストとしての 感性がうずいたんでしょう。 光州に入ってから危ない所に率先してカメラを回します。
この作品で描かれているところは、この大規模な市民参加の大闘争の初めの部分だそうです。 海外メディアで大きく取り上げられたことで、拡大して行ったようですが、20万人が参加した一大事件となったようです。
副題であるように、ピーターとマンソブの友情が最後芽生えるんですが、実はこの映画の公開まで二人が再び連絡を取ることはなかったそうです。 マンソブは、ピーターに本名は教えなかったんですね。 それは危険が及ぶからなのか、照れくさかったからか、初めの心情を悔やんでいたのかわかりませんが、事実は会いたくても会えなかったそうです。
韓国作品の激しさと、大きな感動をする作品でした。
マンソブは娘と二人暮らし
金になると聞いてドイツ人を乗せ光州へ
検問を何とかかわすが
光州であった若いやつら
しかしここは緊張していた