2015年作品、レニー・エイブラハムソン監督、ブリー・ラーソン主演。
ママ(ブリー・ラーソン)と5歳の誕生日を迎えたジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)は、天窓しかない狭い部屋で暮らしている。 夜、二人がオールド・ニック(ショーン・ブリジャース)と呼ぶ男がやってきて、服や食料を置いていく。
その時は、ジャックはママの言いつけで洋服ダンスの中にいる。 そしてその時はこちらに出て来て行けないことになっていた。 いったい二人は何をしているのか? ジャックには解らない。
ママは誕生日にそこにあった材料でジャックとケーキを作る。 しかしここには蝋燭は無い。 ジャックは誕生ケーキは蝋燭を立てることを知っている。 駄々をこねるが、それは来年の誕生日にすると約束をする。 オールド・ニックが来たときケーキを見て、言えばプレゼントを持ってきてやると言うオールド・ニック、しかしママは要求はしない。
そしてある日ジャックが起きると、そこにはラジコンの自動車があった。 プレゼントだと思ったジャックは早速それで遊び始める。 しかしママは複雑な顔をしていた。
また、ママは「息子にもっと栄養を」と抗議するが、半年前から失業して金がないとオールド・ニックは逆ギレする。 さらに真夜中にジャックがタンスから出てきたことで、ママとオールド・ニックは争う。 首を絞められて殺される寸前になったママに、ジャックは泣きながら謝るのだった。
翌朝、ニックはわざと部屋の電気を切ってきた。 急に寒くなったママはある決心をする。
いままで、外の世界は無くて、テレビはすべて作られたもの、外には宇宙があって、世界はここだけと言い聞かせてきたが、生まれてから一歩も外へ出たことがないジャックに、ママは真実を語る。
ママの名前はジョイで、この納屋に7年も閉じ込められていた。 さらに外には広い世界があると聞いたジャックは混乱する。 そんなことをいきなり言われても信じられないからだった。
しばらくして、電気が回復した部屋で考えを巡らせたママは、これがチャンスだと思った。 ジャックが風邪を引いたことにして医者に連れて行ってもらうことを考えた。
しかし、ジャックは薬を持ってきたやると言って医者には連れて行ってくれない。 そこで今度はジャックが急に具合が悪くなって死んだことにすることを思いつく。ドアのカギの暗証番号はオールド・ニックしか知らない。
それは『モンテ・クリスト伯』からヒントを得たのだった。 死んだフリをして運び出させた後の段取りを考え練習する二人。 ママはジャックをカーペットにくるんで練習させるが、恐怖から癇癪を起こすジャック。
ママは、“ハンモックのある家と、ばあばとじいじがいる世界” をきっと気に入ると励ます。 しかし、「ママは?」と尋ねられると、2度と息子に会えないかもしれないと知り、言葉に詰まる。 そして、オールド・ニックがやってくる。 脱出劇は失敗しかけるが、ジャックの記憶力と出会った人たちの機転で、思わぬ展開を迎える・・・
この作品は正直リアルすぎますね。 ここ数年、日本でもこういう誘拐、監禁、それも何年もという事件がついこの前もありました。 誘拐されて確か7年くらいだと作品中言われていましたが、じゃあジャックは誰の子?
脱出劇は、ジャックの必死な行動と、保護してくれた女性警官が機転の利く人でした。 私は、ママ=ジョイは帰らぬ人になるのかな? と思っていたので、再会劇はまず涙するところでした。 しかしこの後もう一つ大きなドラマがあるんですね。
監督は前作が「FRANK フランク」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13404279.html というシュールな作品でしたが、今作もただの脱出劇ではなく、その後本当の母と子の絆を築く再生の物語でもありましたね。
また主演のブリー・ラーソンは「ショート・ターム」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12855242.html でのしっかりした演技は見ていますので、納得のオスカー受賞でした。
ただの感動作品ではない、重厚な作品でした。 ジェイコブ・トレンブレイ君、可愛いし凄い!
ジャックの世界はここだけ
卵の殻をつなげて
そして脱出劇を考え、練習する
無事保護された二人だったが、集まってくる野次馬、マスコミ
初めての外の世界