anttiorbの映画、映像の世界

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ジョニーは戦場へ行った

1971年作品、ダルトン・トランボ監督、ティモシー・ボトムズ主演。

第1次大戦にアメリカが参戦し、中西部コロラド州の青年ジョー・ボナム(ティモシー・ボトムズ)は、ヨーロッパの戦場へと出征していった。 鼓膜を引き裂くような不快音をたてて落下してくる砲弾が炸裂し、大地がわれる。
ジョーはいま、<姓名不詳重傷兵第407号>として、前線の手術室に横たわっている。 延髄と性器だけが助かり、心臓は動いていた。 軍医長テイラリー(エドワード・フランツ)は「もう死者と同じように何も感じない、意識もない男を生かしておくのは、彼から我々が学ぶためだ」と説明した。 こうして<407号>と呼ばれるようになったジョーが陸軍病院に運ばれた。
出征する前夜のことを、ジョーの意識はかけめぐる。 カリーン(キャシー・フィールズ)は 小さくて可愛らしい娘だった。 彼女の父親の許しがあって、ジョーとカリーンは残り少ない時間を寝室で過ごす。
そして出征の朝。 駅には愛国歌が流れ、ごったがえしていた。 涙を流すカリーンを抱きしめ、ジョーは軍用列車に乗った。 ジョーはあの時、泥水のたまった穴の底で、砲弾にやられたのだ。
軍医長の命令で<407号>は人目につかない場所に移されることになり、倉庫に運び込まれた。 かゆかった。 腕のつけ根あたりがかゆい。 ところが何もないのだ。 両手も、両足もないらしい。 切らないでくれと頼んだのに。 こんな姿で生かしておく医者なんて人間じゃない。
ジョーは少年時代を思い出していた。 父(ジェイソン・ロバーズ)は貧しかったが特別な釣竿を作るのが好きで、いつも手を動かしていた。 そんな平和な家庭にも不幸な出来事が起こった。 ジョーが働くようになって間もなく父が死んだのだ。 母(マーシャ・ハント)は気丈に耐えていたが、幼い妹たちは床にうずくまっていた。
顔をおおっているマスクを変える時、あらゆる神経を総動員してジョーはさぐってみた。 舌がなかった。 アゴがなかった。 眼も、口も、鼻もなかった。 額の下までえぐられているのだ。 
ある日、ジョーは何かが額にさわるのを感じた。 そうだ、これは太陽だ。あのなつかしい暖かさ、そのにおい。 ジョーは、野原で真っ裸で陽の光を浴びていたあの日のことを 思いだした・・・

この作品は、評論家の町山氏が凄まじい作品というか、なんとも表現しづらい作品として、pod castで紹介を昔していました。 その頃から見なければと思っていましたが、レンタルでも探せずようやく視聴できました。
これは実際にあった出来事で、この状態で、15年生きたイギリス将校がモデルになっているという事らしいですね。 それを原作者が小説にし、映画にしたという事です。 監督作品としてはこの1作のみのメガホンですが、十分な衝撃作だと思いますし、映像にするうえで、ジョー(ジョニーではないんですね)の回想シーンを多く入れています。
目も口も耳も鼻も無い。 そして手足は壊死していて担ぎ込まれてすぐに切断されてしまうんですね。 残った体で感じることと、かろうじて首が上下に動かすことしかできないジョー。
彼に意識は無く、感情も無くなっている。 首を上下に動かすのも、けいれんしていると思われてしまいます。 でも彼は感じていて、意識はあるんですね。 でも途中全ての器官が消失していて、彼は絶望し、空想、思い出の中だけで生きていくんですが、この後ある看護師がやってきて、ジョーに尽くしてくれるんですね。 そこでジョーは夢の中で父から、あるヒントをもらいます。
そこで彼は意思の疎通を必死にはかろうとします。
でも、ラストは何ともつらい終わりを迎えるんですが…
人間の尊厳とは? 難しい問題提起を突きつけられた作品です。

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ジョーは担ぎ込まれた

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昔の彼女としての記憶

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希望を失った時に現れた看護士

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彼女は日に当ててくれる

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ジョーに同情してくれる看護士

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