2011年作品、デヴィッド・クローネンバーグ監督、マイケル・ファスベンダー主演。
車で女が連れてこられた。 女は叫び続け抵抗している。 着いたところは、チューリッヒのブルクヘルツリ病院だった。
彼はザビーナの話をひたすら聞き、彼女の後ろに座り、自分を見ないようにさせ、そして自分のことを語らせるという方法を取りはじめた。 彼女は自分の事を、つっかえながら話し始めるのだった。 そして時折ユングは質問をし、今までの彼女の生い立ちがだんだんわかってくる 。
彼は偶然という物を信じない。 それはザビーナという症例の名を付けたときにそういう名前の女性が来た、それは偶然ではなく、そういうことが起こるべきして起こった、そして何か神秘的なものによるとも思うのだった。
妻のエマ(サラ・ガドン)はそんな夫の話を静かに優しく聞くのであった。
彼女のお腹の中には、ユングの子供がいる。 なんとしても男の子を生みたいと張り切っている。
だんだん普通の対応ができるようになったサビーナ。 彼女は医師を目指しているのだった、それも精神科医を。
しかしまだ何かのきっかけで癇癪も起こしてしまう。 そんな時ユングはちょっとの間病院を留守にするのだった。 しかしその間ザビーナはとても手が付けられない状態になってしまう。
ザビーナの治療は一進一退だったが、だんだん過去を語れるようになってはいた。
二人は話し込むと時間を経つのも忘れるほどだった。 そしてだんだん根底に考え方が違うことにお互い気が付くのだった…
フロイトとユング、心理学の両巨頭の話の作品というのを、よく映画化にしたというところでしょうか。 そこに、ザビーナ・シュピールラインという女性の存在を描くことによって、“人間ユング”という存在が浮き彫りになるところが監督の上手いところでしょうか。
実は私は大学の専攻が大きく言って心理学だったので、フロイト、ユングというのは授業で出てくるんですね。 ただ彼らくらいになると文献が多く、研究もされているので難しくて(^^)ちょっと嫌いになったほどでした。
ただユングは、夢判断、分析が有名なので、一般の人にも興味を引きやすい人物に思えました。
ザビーナは知りませんでした。 元は患者でしたが、後年は医学部に進学し、結婚、ロシアに渡ったそうですが、それよりもユングとの愛人関係のインパクトが大きいですね。 キーラ・ナイトレイの迫真の演技ですが、逆にこれを見てちょっと彼女から引いちゃう人もいるかもしれないほどでした。
題材は地味なんですが、なかなか面白かったですね。