anttiorbの映画、映像の世界

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寝ずの番

2006年作品、マキノ 雅彦監督、中井貴一主演。
 
ここは病院、結構大手術をしているが、医師(角野卓造)はリラックスするため歌を歌っている。 手術を受けているのは、上方落語界の重鎮・笑満亭橋鶴(長門裕之)。 一応手術は終わったが、もう長くないと知らされる。
そこに集まっているのは、一番弟子の橋次(笹野高史)、橋太(中井貴一)、実の息子の橋弥(岸部一徳)、橋枝(木下ほうか)、橋七(田中章)、そして妻の志津子(富司純子)だ。
橋次が最後に何かありませんかと橋鶴に聞くと、「そそが見たい」 と聞く橋次。  そそとは女性のあそこ。 最後の願いをかなえるため、志津子ではダメということで、橋太の妻の茂子(木村佳乃)に頼むと言われ困る橋太。
すぐ家に帰り茂子を説得する橋太。 始めは怒りまくる茂子だが、師匠の今生の最期の願いと聞くと彼女は承諾した。 すぐさま病院に行き、病室でおそそを見せる茂子、だがそこで橋鶴が言った言葉は、「外が見たい」だった・・・その3分後橋鶴は息を引き取った。
通夜の席では無礼講。 一門の慣わしで今夜は寝たらいけない“寝ずの番”をすることになった。 弟子たちだけでなく、評論家の小田先生(石田太郎)や志津子の遠い親戚の田所 (蛭子能収)、多香子(土屋久美子)、美紀(真由子)も来た。 
生前の師匠の様々な逸話で盛り上がり、遂には亡き骸を引っ張り上げて落語 『らくだ』 の“カンカン踊り”まで出る始末であった。 そして夜は更けていき、夜どうしどんちゃん騒ぎが続いたのであるが、実はそのあと予期しない出来事が起こるのだった…
 
落語の映画というのは、結構見るんですよね。  これはまた一風変わった作品でした。  やっぱりですが、、六代目笑福亭松鶴夫婦がモデルなんですね。 上方落語の雰囲気がよく出ている作品でした。
冒頭の艶っぽい話は、まだ落語の艶話が残っている上方落語ならではの発想で、気が強いけど、芸人の嫁ならばと奮闘する役を木村佳乃が熱演? していました。 たしかに中井貴一木村佳乃だと、ちょっとかっこいい夫婦ですが、その辺は映画なんでご愛嬌ですね。
この作品のハイライトは、3人目の葬儀での橋鶴師匠の恋のライバル役・もと鉄工所の社長・堺正章との座敷歌の戦いですね。 もともと芸達者な堺さんですが、それにぴったりとついていく(物語では堺さんが素人ですが)中井貴一との掛け合いが見ごたえがありました。 
私が言うのもなんですが、落語って今は笑わせる話がほとんどですよね。 でも、落語って、人情噺、怪談、そして艶噺と様々あって、それで落語でしたよね。 
私はどれも好きですが、それでも人情噺も少なくなりましたし、艶噺なんかとんとお目にかかれません。 
そんな雰囲気をちょっとでも嗅げた作品でした。

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何か最後の望みは「そそが見たい」

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橋太は妻の茂子に頼み込む

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そして…

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“そそ”でなく“外”だった

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死んだ師匠まで起こしてかんかん踊り

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