anttiorbの映画、映像の世界

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PERFECT DAYS

2023年作品、ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司 柄本時生 中野有紗 アオイヤマダ 麻生祐未 石川さゆり 田中泯 三浦友和出演。

東京スカイツリーが近い古びたアパートで独り暮らしをする、中年の寡黙な清掃作業員・平山(役所広司)は、一見、判で押したような日々を送っている。 毎朝薄暗いうちに起き、台所で顔を洗い、ワゴン車を運転して仕事場へ向かう。 行き先は渋谷区内にある公衆トイレ。 それらを次々と回り、隅々まで手際よく磨き上げてゆく。
一緒に働く若い清掃員・タカシ(柄本時生)はどうせすぐ汚れるのだからと作業は適当にこなし、通っているガールズ・バーのアヤ(アオイヤマダ)と深い仲になりたいが金がないとぼやいてばかりいる。 平山は意に介さず、ただ一心に自分の持ち場を磨き上げる。 作業をつづけていても、誰からも見て見ぬふりをされるような仕事。 しかし平山はそれも気にせず、仕事をつづける。 仕事中は、ほとんど言葉を発することがない。
それでも、平山は日々の楽しみを数多く持っている。 たとえば、移動中の車で聴く古いカセットテープ。 どれも少し前の音楽だ。 パティ・スミスルー・リードキンクスヴェルヴェット・アンダーグラウンド。 彼の部屋にはそんな音楽カセットテープがたくさんある。
休憩時に神社の境内の隅に座ってささやかな昼食をとるときは、境内の樹々を見上げる。 その木洩れ日をみて笑みをうかべ、一時代前の小型フィルムカメラを取り出してモノクロ写真を撮る。 街の人々は平山をまったく無視して忙しく行き交っているが、ときおり不思議なホームレス風の老人(田中泯)が、平山と目を合わせてくれることも、ずっと気になっている。
仕事が終わると近くの銭湯で身体を洗ったあと、浅草地下商店街の定食屋で安い食事をすませる。 休日には行きつけの小さな居酒屋で、客にせがまれて歌う女将(石川さゆり)の声に耳を傾けることもある。 家に帰ると、四畳半の部屋で眠くなるまで本を読む。 フォークナー『野生の棕櫚』、幸田文『木』 、等々…。 眠りに落ちた平山の脳裏には、その日に目にした映像の断片がゆらゆら閃きつづけている。 樹々の枝から漏れる陽光・街を行き交う人々・あの老人の姿・・・

監督はヴィム・ヴェンダース、「世界の涯ての鼓動」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/2019/08/07/060000 を記事にしています。
主演は役所広司、「銀河鉄道の父」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/2023/05/09/060000 に出演でした。
柄本時生は、「宇宙人のあいつ」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/2023/05/23/060000 に出演でした。
中野有紗は、今作がデビューですかね?

これはいろんなところで紹介されている注目作品ですね。 邦画ですが、ドイツ人監督のヴィム・ヴェンダースが撮るというそれだけでも興味が湧く作品です。
近年、日本の公衆トイレ、駅のトイレは、ものすごく綺麗になりましたよね? 特に駅は、東京オリンピックのために綺麗にしたと聞いていますが、今回は東京のトイレの清掃員という視点で、ごキュメンタリーのような撮り方をしています。 監督自身がドキュメンタリーも得意としているので、その中で役所さん演じる平山というキャラが、独特の雰囲気を見せてくれています。
少し彼のプライベート、なぜ彼がこの仕事をし続けているのかが、後半姪のニコが来てから多少感じるところはありますが、それは見ている方が色々想像するところかもしれませんね。
客席も満席で、中高年の客でいっぱいでした。 秀作ですね。