2020年作品、諏訪敦彦監督、モトーラ世理奈 西島秀俊 三浦友和 西田敏行出演。
東日本大震災を機に、広島県に住む叔母・広子(渡辺真起子)の家に身を寄せている高校生のハル(モトーラ世理奈)。 彼女は家族と一緒に岩手県大槌町に住んでいたが、津波が家族を奪っていった。
ある日、ハルが学校から帰ると、部屋で広子が倒れていた。 病院に運ばれ、静かに眠る広子の胸に抱きついたハルは、病院を出て行き、誰もいない土地で、亡き家族への思いを泣き叫ぶ。
泣き疲れてその場に倒れていると、軽トラックを運転する公平(三浦友和)が通りかかる。 公平は母と暮らす家にハルを連れて行き、広島で起きた様々な出来事について聞かせる。 ハルは駅まで公平に送ってもらうと、意を決して自宅とは反対方向の電車に飛び乗る。
着いた先でヒッチハイクをし、優しい姉弟に乗せてもらったハルは、妊娠中の姉・友香(山本未来)に、元気に動くお腹を触らせてもらう。 夜の街で不良に絡まれ、危ないに目に遭いそうになると、福島県から来ていた森尾(西島秀俊)に助けられる。
森尾は、被災地にボランティアで来たクルド人の男性を探して旅をしていた。 森尾はかつて原子力発電所で働いていて、ハル同様、家族を津波で失った。 森尾の実家に行くと、今田(西田敏行)と姉(池津祥子)が二人を出迎える。 ハルは、森尾の車で大槌町に着く。 地図を見なくてもわかる自宅は、まだそこにあった。
大槌町には、電話線はつながっていないけれど、亡くなった人に想いを届けることができる “風の電話” という電話ボックスがあるらしい。 ハルは導かれるように、旅の執着地に向かう……。
震災を描いた作品、まだまだ多くの方たちの心に大きな穴が開いているんでしょう。
監督は諏訪敦彦、初めて作品を見ますね。
主演はモトーラ世理奈、「少女邂逅」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/15598261 で衝撃の長編映画デビューだったと思います。 個性的な存在、今作もいい味が出ています。
そして西島秀俊、「任侠学園」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/2019/10/08/060000 が近作映画出演ですね。
物語は、生まれたちから遠く離れた広島に、叔母と住んでいる広子のお話です。 口数も少なく、なかなか意思表示をしない彼女、それは彼女が両親、弟を東日本大震災で亡くしているからです。 叔母との暮らしとなり、彼女は進路を決める年齢になったとき、叔母が倒れてしまいます。 意識不明で入院してしまった叔母を見て、彼女は今まで隠していた悲しみ、怒りが爆発してしまいます。
途方に暮れ寝ていた彼女を見つけたのが公平という初老の男でした。 そして彼女は生まれた場所に行くことを決めていきます。
今作はロードムービーになっていますね。 制服姿で、岩手県大槌町を目指す広子。 その旅路では、いろんな人間と触れ合っていきます。 もちろん女子高校生の一人旅に危険はつきもの。 そこを助けられたのが森尾でした。 彼も実は震災で家族を失っていたんです。
あれから9年が経とうとしていますが、どうしても帰れない地があり、さらには帰りたくてもそこで生活が成り立たない現実もあります。 しかし少しでも歩き出してほしい。 そんなことを願ってしまうお話でした。
家族を失い、叔母も倒れたハル
公平に助けられ
ハルは大槌に向かう
途中ヒッチハイクをして
この姉弟にも助けられ
風の電話に