2016年作品、チャン・ジーウン監督。
1997年に香港が中国に返還される事が決まったのは、1984年のこと。 それから30年が経った2014年、香港にはまだ民主主義が存在しなかった。
自分たちで香港の代表を選ぶ “真の普通選挙” を求めて若者が街を占拠。 同じ“香港人” であるはずの警官たちから浴びせられる催涙弾に雨傘で抵抗したことから、それは “雨傘運動” と呼ばれるようになった。
そのデモにカメラを持って向かったのが、当時27歳のチャン・ジーウン。 そこで出会った映画の主人公となる仲間たち。
大学生のレイチェル、ラッキー、仕事が終わってからデモに駆けつけた建築業のユウ、授業の後に1人でデモに来た中学生のレイチェル……。
香港の街が占拠され、路上にはテント村ができ、自習室ではラッキーの英語無料教室が開かれた。 テントを張り、水を運び、夜は一緒にマットを敷いて路上に寝る日々。 討議がまとまらず、言い争いになると “これが民主主義だ” とみんなで笑いあう。
これはタイムリーな公開でした。
監督はチャン・ジーウン、若い監督ですね。 作品に出演している若者とそう変わらない年齢ですし、だからこそ密着できたんでしょう。
今作は、2014年から始まった、普通選挙実施に反する中国政府に対する抗議行動を、当時の若者を先頭に起こったデモですね。 始まりは、高校生や大学生が事業ボイコットをしたことからみたいですが、若いところからから発生したのが、なにか大きな衝撃を受けます。
そもそも、香港はイギリスから返還された1997年に、当時は一国二制度という大義名分で始まった特殊な環境でした。 共産党の関与を少なくする、独特な経済圏でしたが、でもこのときに大量な共産主義化することを恐れた現地の裕福な層はシンガポールに脱出したと聞えてきましたね。
“香港人” という表現がでてきますが、警察組織は同胞といっていいでしょう。 でも無表情で、鎮圧をしようとする画像が流れ、ちょっと怖い感じさえ受けるんですね。
作品中には、若者のデモを応援する人々と、逆に香港の秩序を乱す集団と非難するもの、さらにデモの地域によって少し考えが違うなど、いろんな矛盾も描かれています。
作品中、綺麗な女の子がいきなり参加するんですね。 彼女は16歳というんですが、本当はどうやら中学生、でも自ら運動に参加、次には友達も連れてきていました。 自分で考えて行動を起こす、そこに年齢は関係ないんですね。
そして今年、再びデモが起き、今回は行政長官のほうが折れる形になり、デモを行う側の優勢が報道されました。
この2014年の若者のデモが生きた経験になってといってもおかしくないですね。
大きなうねりとなった雨傘運動
それは若い人間たちが
立ち上がったことから
彼は少し年長者のほう
そして彼女は中学生
雨傘を掲げて