病院に入院している老人(加藤剛)は、そろそろお迎えがせまっていることを予期していた。 そんな中、看護師の吉川天音(石橋杏奈)は、なかなか来ない家族のことを気にかけていた。 たった一人お見舞いに来る孫娘は、あまり甲斐甲斐しく世話を焼こうとしない。 冷たい孫だと周りの人に思われている。
そんな時、吉川は彼が映画の脚本家だったことを知る。 そして彼自身が監督をする予定だった脚本の話を聞くことになる。
時は1960年。 まだ大衆にとっての一番の娯楽が映画だった頃。 牧野健司(坂口健太郎)の夢は、映画監督になることだった。 田舎から出てきて早7年、助監督とは名ばかりで健司の仕事は雑用ばかり。 仲間が次々と去っていく中、健司は夢のために歯を食いしばって日々の辛い仕事に耐えていた。
そんな健司にとって毎日の一番の楽しみは仕事終わりの 「ロマンス劇場」 だった。 館主の本多(柄本明)と懇意にしている健司は、閉館後の映画館 「ロマンス劇場」で好きな映画を観ることができる。 といっても、健司が観るのは1本のモノクロ映画だけだ。
健司にとっては映画の中の 『美雪』 の存在だけが癒しだった。 物語はお城の中で退屈な王女が抜け出すお話、しかし途中で3匹の家来と出会い冒険をする展開に、チープな内容だが、彼女を見るだけで健司は満足だった。 そして、叶うなら、一目だけでも本物の彼女に会ってみたい、健司はそう思わずにはいられなかったが、もちろんそれは叶わぬ願いだった。
ある日、健司は、まさに踏んだり蹴ったりだった。 仕事ではミスをして大スターの俊藤(北村一輝)を怒らせてしまったし、何よりショックだったのは 「お転婆姫と三獣士」 がコレクターに売られることになってしまったことだ。 誰も見なくなったフィルムだが、マニアではお宝だというのだ。
せめて最後にしっかりと目に焼き付けておきたいと、健司は劇場で 「お転婆姫と三獣士」 を観ることにした。
その時だった。 突然の雷鳴、そして停電 。劇場が異様な雰囲気に包まれる。 前方に何やら動く人影が…
この作品も長いこと予告編が流れていて、設定は何気なくみなが知っている感じでした。 しかし今作は大きな感動をさせてくれます。
監督は武内英樹、代表作は 「テルマエ・ロマエ」 2部作 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/MYBLOG/yblog.html?m=lc&sv=%A5%C6%A5%EB%A5%DE%A5%A8%A1%A6%A5%ED%A5%DE%A5%A8&sk=0 ですね。
物語は映画から飛び出してきたおてんば王女のお話ですね。一見、「ローマの休日」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14291817.html か? と思いますが、しかしこの元の映画での彼女の役は、ただのおてんばでなく、気が強く、超高飛車なんです。 だから彼女は、彼のことをなんと “しもべ” と呼ぶんですね。
しかし憧れの人が実際に出てきたことで、健司は彼女の一切の面倒を見るだけでなく、どんな命令、わがままも聞いてあげるんですね。 でも健司は京映の社長の娘:成瀬塔子に惚れられているんです。 彼女は健司に監督をやらせたいがために、若手助監督たちに脚本を書かせ、採用になったら監督をさせるという企画をするんですね。 才能豊かな健司がきっと勝つだろう、そして見事健司がいい脚本を書くんですが。 本田翼が演じています。
この作品は、入院している老人の思い出と、シナリオを話すということで展開していきます。 見ていきながらこの老人がいったい誰なのかがわかってきますが、それでもあのラストは見事でしたね。
どうして彼女は現実世界に出てきたのか? そしてこういうことは初めて起きたのか? よく練られたシナリオですし、超高ビーの彼女が最後可愛く思えてくる感動のラストでした。
彼の思い出の物語
京映の若手助監督の健司と山中
大スターの俊藤
彼の憩いの場はロマンス劇場
社長の娘は健司のとこが好きだった
そして最後の日、彼女が画面から飛び出してくる