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死刑弁護人

2012年作品、齊藤潤一監督。

死刑事件を請け負う弁護士は少ない。“極悪人の代理人” “人殺しを弁護する人でなし” 世間から様々なバッシングを受けるだけでなく、人命が奪われた事件を通し、加害者と被害者双方の悔恨や悲嘆に苦悶することになるからだ。
しかし、安田は “悪魔の弁護人” と呼ばれようとも、依頼人を背負い続ける。
「事実を出して初めて本当の反省と贖罪が生まれる。 どうしたら同じことを繰り返さずに済むのか、それには、まず真実を究明しなければならない」。
貧困と富裕、安定と不安定、山手と下町。 凄惨な犯罪は境界で起きることが多い。生まれ育った環境が生む歪みを無視し、加害者を断罪することに終始することが、事件の解決と言えるのか。 「誰が何を裁くのか ?」 裁判は、犯罪を抑止するために、材料を洗い出す場でもあるはずだ。 安田の生き様から映し出されるのは、この国の司法のありようなのだ・・・

監督は齊藤潤一、「平成ジレンマ」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15351318.html の監督でもあります。

日本の法制度で未だに厳然と存在するのがこの死刑制度。 多くの国で、死刑制度廃止が叫ばれている中、日本は頑なにこの死刑制度を維持しています。
これは大変難しい問題ですね。
国の執行制度として、極刑がこの 「死刑制度」 なんですが、他国では終身刑というのがありますが日本では存在しません。 「無期懲役」 がそれに準ずる制度ですが、模範囚の場合長期の服役後に釈放されるケースが多く、被害者側の感覚でいえば、重大な罪を犯した者が社会にまた出て来る恐怖を感じる人もいるかもしれません。
いろんな側面で考えうるこの問題、安田弁護士はもう顔はよく知っています。 正直なところ、やはり凶悪犯罪を犯した者の顔って多くは本当に醜悪に感じます。 しかし彼がどうして死刑廃止を訴えるのか? 今作では、どんな凶悪犯でも更生の道があると言うんですね。
たとえは悪いかもしれませんが、あのヒトラーでさえあると言い切る安田弁護士、麻原裁判にも彼の死刑判決について、再審請求をしているそうです。
今作で冒頭に取り上げるのは、あの 「和歌山カレー事件」 でした。 容疑者とされている女性は死刑判決が下っています。 世論も彼女が犯人だと思い込んでいるこの事件、彼はそうは思っていないんですね。
彼女は、その前に保険金目当ての殺人未遂、もしかしたら殺人も行っている可能性も高いです。 誰が見ても、あまり良い感情は抱けない人物ですが、逆にここに安田氏は注目をします。 彼女の起こした疑惑、事件は、すべて営利を求めている。 金が入らない犯罪には手を出さない。
この和歌山カレー事件は、彼女の身に一銭も入らないんですね。 ただの無差別殺人ですから、逆に彼女が起こした殺人ではないという見解なんですね。 そしてもう一つ、証拠が一切ないんですね。 物的証拠がなく、状況証拠しか存在しない。 もしかしたら、これに関しては真犯人がいるのでは?
もちろんそれまでの一連の事件の被疑者ではあるかもしれませんが、これに関しての死刑判決は間違っているのでは? 安田弁護士は個々に確信を持って取り組んでいて、最後に 「この事件で死刑を執行されたら恥ですよ」 とまで言い切ります。

死刑制度について論じるのは難しい。 “性善説” “性悪説” に留まらず、人間は悪から善に転じることができるか否か、人間の本質にかかわる重要な問題こそが、国家権力によって死を決定できるかにかかわってきますからね。

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死刑囚を請け負う安田弁護士

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彼女の再審請求もしている

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没頭する安田氏

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しかし彼に嫌疑がかかる

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そして有罪判決が

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しかし安田氏はぶれない

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