ソウルのとある刑務所。 夜になると囚人たちが塀の外に飛び出し、証拠も痕跡も残さずに完全犯罪が行われていた。 100%アリバイを保証する完全犯罪区域として変貌したその刑務所の中で、首領のように君臨する囚人がいた。
彼の名は、チョン・イクホ(ハン・ソッキュ)、囚人だけでなく、看守からも恐れられている彼は、犯罪組織のボスであり、囚人たちを指揮する張本人だった。
そんなある日、検挙率100%を誇り “死神” と呼ばれる元刑事ソン・ユゴン(キム・レウォン)が、ひき逃げ・証拠隠滅・収賄の容疑で収監されてくる。 負けん気が強いユゴンは、いきなり乱闘騒ぎを起こすが、タフな彼はひるまず、大立ち周りをして、囚人たちの間でも顔を覚えられてしまう。
まず入った部屋で、その部屋のボスのチャン・ギル(シン・ソンロク)の制裁に遭う。袋叩きにされ、トイレでむごい仕打ちに遭うユゴンだったが、一種の隙に反撃、ギルの耳を食いちぎってしまうのだった。 独房送りになったユゴンだったが、ほとんどへこたれてはいなかった。
しかし恥をかかされたと思ったギルは、独房から出てきたユゴンを再び同じ部屋の仲間と一緒に襲い掛かるが、その時、待ったをかけたのがイクホだった。
1対1での勝負を促したイクホに、もし勝ったら、優遇されている、8号錬に移してほしいとユゴンはイクホに了承を求める。 にやりと笑ったイクホは、それを了承する。
そして見事さしの勝負に勝ったユゴンは、イクホと同じ錬に移ることができたのだった。
そこでユゴンは、イクホの裏の仕事をだんだんわかってくる。 所長(チョン・ウンイン)は全くのイクホの言うなりであり、彼はイクホのおかげで所長までのし上がることができた。
そんなある日、警察局長(イ・ギョンヨン)が何の前触れも無く視察に来た。 もちろん8号錬にも足を向けた時、イクホに対して昔の所長時代に面識があることがわかる。 ここでのなにか一目置かれた雰囲気を察した局長は、普通の囚人と同じように蔑んだ態度をイクホにも取る。
イクホがブチ切れる寸前に割って入ったのがユゴンだった。 一触即発を回避させてくれたユゴンに、イクホの信頼はだんだん増してくるのだったが…
しかし犯罪を刑務所内部から出張して行うのは、確かに盲点ですね。 犯人はもう刑務所にいるんですから。
監督はナ・ヒョン、日本では初公開となる監督のようですね。
主演はキム・レウォン、私は出演作品をはじめて見ます。
そしてハン・ソッキュ、「カル」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/8825914.html では難しい刑事役をしていましたし、「ベルリンファイル」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/9830117.html 有能なスパイエージェントでしたね。
物語は、刑事が罪を犯し刑務所に収監された中で、そこのドンとどんどん近づいて行くお話です。 文字通り、監獄の中のドンなんですが、その影響力は外の世界でも、大きな力を発揮しています。 彼はもちろん出入り自由で、好きな時に運転手つきの車で外出、そして好きなモノを食べにも行けます。 ただ、家が監獄の中だというだけで、金は唸るほど持っていますし、外の世界でも腕利きの殺し屋がいて、外の仕事に行く8号錬の囚人たちの手助けもするんですね。
そして裏切り者、へまをした者には死が待っている。 それは偉い外の人間も例外ではありません。
しかし、切れ者で、刑事として優秀だったユゴンがどうして刑務所に来たのか? それは彼の兄が重要なカギでしたね。 本当のユゴンの姿がだんだんと明らかになって行くとともに、イクホの怖さが増していく。 そんな作りになって行っています。
刑務所の中のドンという設定はいろいろありますが、自由に出入りできる存在は珍しいですね。 ラストはさすがの韓国作品、壮絶でした。