男を後ろから殴打、倒れた後さらに滅多打ちにし、最後にガソリンを掛け、燃やすという残忍な殺人事件が起きた。
重盛は若手弁護士の川島輝（満島真之介）と事務員の服部亜紀子（松岡依都美）を抱える事務所を持っていて、勝利にこだわる弁護士だった。 父の重盛彰久（橋爪功）は裁判長を務めていて、実は逮捕された三隅は30年前にも殺人を犯していて、その時担当をしていた。
川島を連れ３人で三隅に謁見をしに行き、今度重森も加わることを言い、彼は重盛裁判長の息子だと言うと、三隅は安心した表情を見せる。 終始和やかに接する三隅、しかしどうして摂津は応援を求めて来たのか？ 彼曰く、証言をころころ変えるという事だった。
しかし、起訴された三隅は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない。 重盛は、どうにか無期懲役に持ち込もうと調査を開始する。そして、当時持っていた三隅の所有物の中に、殺された社長の財布があった。 そこに付着していたガソリンから、三隅は最初から強盗殺人ではなく、あとから金品を取ろうしたのではないかと推察をする重盛だった。
そうなると強盗殺人という計画性が崩れ、殺人だけで、あとから窃盗が加わるという事になり、減刑の突破口になると考えるのである。
その方針で行こうと思った矢先、週刊誌に三隅の独占告白の記事が載るのだった。それはなんと、社長の妻・山中美津江（斉藤由貴）から殺人依頼をされたという衝撃的な内容だった。 さらに三隅の口座には謎の入金が５０万円あり、それが依頼料だというのだった。
法廷での作戦は根底から覆ってしまう。 そしてこれはまだ始まりに過ぎなかった・・・
是枝監督の新作は法廷劇ですね。 監督の前作は 「海よりもまだ深く」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14165839.html で、あの作品はなかなか切ない親子関係を描いていましたが、今作は一転しましたね。
主演は福山雅治、監督とのコンビは 「そして父になる」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10331056.html でしたね。 これは当時息子と見に行って、複雑な感じで鑑賞しました。
今作ではさすがに役所広司が上手かったですね。 具体的に描かれなかった３０年前の殺人、ここがさらっと流されているんで、余計に彼が演じる三隅象が掴みどころがない感じがしましたね。
そして週刊誌に載った独占告白、事件は全く違った方向に流れて行きますが、ここでもう一人重要な人物の名前が浮き上がってきます。 それが被害者の社長の娘で広瀬すず演じる山中咲江でした。 足が不自由な彼女は、どうやら三隅と接点があったんですね。
現場にいる姿も目撃され、三隅のアパートにも出入りをしていた。 彼女もそうですし、妻も何かを隠している、どんどん三隅という人間がわからなくなっていきますし、最終的には彼が犯人なのかというところまで疑われ始めます。
殺人事件の真相を探るドラマのように、一見見えるこのお話、しかし根底は、日本における裁判の真実、弁護士の仕事の真実、検察のやり方までにメスを入れた感じがしましたね。
「真実なんかどうでもいい」 「問題は裁判に勝つかどうか」 その軸さえもぶれ始めるという展開に驚きましたが。
残酷な殺人事件が起こる
被告の三隅に謁見する重盛と摂津
