2015年作品、セスク・ゲイ監督、リカルド・ダリン、ハビエル・カマラ出演。
カナダ在住のトマス（ハビエル・カマラ）は、朝早く家を出る。 二人の子供はまだ寝ているし、妻もまだベッドの中だった。 彼が向かった先はスペイン、そこには長年の友人フリアン（リカルド・ダリン）が住んでいた。 アパートのベルを鳴らそうとした時、中から住人が出てきて上手く入ることができた。
いきなりの訪問に驚くフリアン、しかし彼は嬉しそうだった。 お土産はウィスキーとつまみ。 しかしすぐに彼は聞く。 しかしフリアンはちょっと煩わしそうな顔をするが、せっかく来た友人の追い払う事は止めるのだった。
トマスをここに来させたのはフリアンのいとこ・パウラ（ドロレス・フォンシ）だった。 彼女からフリアンが肺がんに侵され余命いくばくもないことを聞いて飛んできたのだった。 トマスは4日間滞在をすると告げ、さっそく愛犬トルーマンを散歩に連れて行くことを言われる。 いつもの公園で、愛犬仲間の女性から声を掛けられる。
散歩から帰ってきて、フリアンは医者のところに行くのでトマスもついて行く。 ここで彼は今までの主治医に、もう治療はしないと告げ、自分はもう治らないことを確認するのだった。 彼はすでにがんの治療を諦め、死に支度を始めており、横で聞いていたトマスも彼の決意が固いことを実感させられる。
フリアンは役者だった。 今も毎日夜の舞台に出ている。 その日も公演があり、そこでパウラと会う事になる。 彼女はトマスなら治療を受けさせるよう話をしてくれると期待をしていたが、トマスはもうそれは無理なことを彼女にそれとなく告げる。
レズのカップルで息子がいるという家庭。 しかし息子が不在で、今日預けて夜に帰って来る息子と馴染むかどうか見たいと言われ、いきなり預けることに動揺するフリアン、トルーマンは彼にとっては子供同然なのだった。 帰りの車で涙を流すフリアン。
そしてもう一人は実の息子だった。 息子のニコ（オリオール・プラ）にはまだ病気のことはしっかり話していない。 そして明日が息子の誕生日だと聞いたトマスは、フリオンに会って話さないとと言うと、フリオンはじゃあ一緒に食事をしよう、飛行機の予約を取らないとと言い出す。
ニコはオランダに住んでいるというのだ。 ちょっとびっくりしたトマス、そして費用は全部彼持ちだった。
いきなり彼の住んでいるアムステルダムにいき、大学を訪ねる。 突然の訪問くニコだが、今彼は試験中、ランチを軽くする時間しかないと言うが、それでも必死に、せっかく来てくれた父との時間を取ろうとして、恋人のソフィア（ルーシー・デクロゾー）に会わせるとまで言うのだった。
そして 短いランチの時間が始まるのだが、彼はなかなか切り出せない。 別れ際にニコはしっかり父を抱きしめるのみだった…
都内では有楽町と恵比寿で公開されているこの作品。 なかなか味わい深い作品でした。
監督はセスク・ゲイ、スペインでは多くの監督をしているようで、脚本も手掛けていますが、日本には公開されるのは今作が初めてのようですね。 主演のフリオン役はリカルド・ダリン、彼の主演作は 「瞳の奥の秘密」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/8245188.html 「ロスト・フロア」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14941584.html とありますが、それぞれ趣の違う役で主演をしています。
そしてハビエル・カマラ、「あなたになら言える秘密のこと」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12083885.html を見ていますが、彼の主演作は見ておかないとと思いました。 それだけこの作品での彼は独特の佇まいをしています。
そしてもう一人パウラ役でドロレス・フォンシ、いかにも南米の女性という美人ですね。 彼女の情熱的な役がまた良かったですね。
物語は、肺がんで余命いくばくもない男が、自分の人生の区切りをつける作品、そしてそれを聞いた親友が遠くカナダから駆けつけるという作品でした。 もちろんびっくりするのと、何とか少しでも延命するため治療をさせようと説得をするために来るんですが、彼は初めの数分ですべてを悟る感じなんですね。 あとはこの4日間をいかに親友と過ごすかに徹します。 この気持が痛いほどわかります。
「お前お金を持っているか？ 俺は金欠なんだ。」 「豪遊できるほどあるよ」 このやり取りで、二人の心が深いところで通っていることがわかります。 でもとても自然な昔からの親友んなんですね。
そしてハイライトは記事に書いた最後の部分、ここは気が付く人は突然涙があふれてくるシーンです。 私もここでじわっと来ました。
この作品原題は 「Truman」 というんです。 そう、愛犬の名前なんですね。それはラストシーンでわかります。
いきなり来たトマスに歓ぶフリオン
