それは、笑い声がさざめくいつものパーティーのはずだった。
東京近郊、とある豪邸のテラスで、富裕層が集まる宴がそろそろ終わりの時間を迎えようとしていた。 テラスにいたのは遅れてパーティーに来た田ノ浦(師岡広明)と、もう一人女性(平岩紙)がいた。 透き通るような色白の女性ははる子というのだと教えたのは、このパーティーの主催者の専務(岩谷健司)の妻の和美(石橋けい)だった。
そこに現れたのは斉藤雅人(岡部たかし)だった。 彼は斉藤さん(古屋隆太)の奥さんというが、自分も斉藤で何ともややっこしい。 グラフィックデザイナーの斉藤氏はスピーチをしていたのだが、彼は遅れてきて、その斉藤夫妻には会っていなかった。
お客たちが三々五々帰って行ったのだが、主催者の専務夫婦、そして斉藤夫妻、遅れてきて物足りなそうな田ノ浦、そしてもう一人の斉藤はみんなテラスに集まってくる。
そこで、和美が挑発的な言葉を田ノ浦にぶつけるのだった。 「はる子の白い腕に田ノ浦さんは目を惹かれ、一目ぼれをしたみたいだ」 その言葉に夫の斉藤太郎が反応、さらに専務も、なぜか敏感に反応するのだった。
はる子は、男どもの視線に少し嫌なそぶりをして、口調ではやんわりと否定をするが、そんなはる子の態度に食いついてくるのは同じ女性の和美だった。 和美は胸の大きく開いたドレスを着て、谷間を強調している。
斉藤夫妻は気まずくなって帰ろうとするが、実は斉藤太郎はどうしても専務に取り入って仕事を取ろうとしているのだった。 だからそう簡単には帰れない。 またもう一人の斉藤も、専務と久しぶりに会うので、簡単には帰ることができないのだが、彼は胃を切り取った大手術後で全く別人のように痩せた姿であり、顔も実は本当は青ざめているのを化粧で隠しているのだった。
それぞれの思惑が渦巻く中、そこに専務の息子・照男(橋本淳)が帰って来る・・・
そして張り合うような感じではる子役をするのが平岩紙ですが、彼女はテレビではおなじみで 「トト姉ちゃん」 では弁当屋のピエール滝の妻役でした。 また多くのドラマでは、たまに怖い役をしますし、サイコ的な役もこなす名女優。
映画では「福福荘の福ちゃん」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14696878.html 「百万円と苦虫女」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13411782.html に出演、効いた役どころですね。
山内作品、今回は3本立てを見た中では一番新しい作品、とくにワンシチュエーションという設定は、舞台をそのまま映画として撮ったという感じですね。 7人という登場人物は、たまに家の中にはいっていったり、様々ですが、その中でのこじれていく会話のやり取り、そしてだんだん異様な方向に行くペアもあったり、なかなかこれは面白い。
山内監督らしい、一刺しもある秀作ですね。
隙をみてはる子迫る専務
音楽をとっさに掛けて踊るはる子にみなが釣られる
そして和美が張り合いだす
さらにひとり芝居や
誘惑も始める