anttiorbの映画、映像の世界

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彼らが本気で編むときは、

2017年作品、荻上直子監督、生田斗真主演。

11歳の小学生・トモ(柿原りんか)は、母親のヒロミ(ミムラ)と二人暮らし。 母やいつもトモが寝た後に帰ってくる。 そしてそのまま寝てしまう。 トモはいつもコンビニのおにぎりを食べさせられていた。
だがある日突然ヒロミが家出、独りきりになってしまったトモが向かった先は叔父のマキオ(桐谷健太)が働いている本屋だった。 トモが来た瞬間マキオはすべてを悟っていた。 姉のヒロミの蒸発は初めてではないからだった。
マキオの家でしばらく厄介になるトモ、しかし今は一緒に暮らしている人がいると言われる。 そしてマキオはトモにその人の説明をし辛そうだった。
家に着くと、リンコ(生田斗真)が出迎えてくれる。 大柄で綺麗な女性だが、トモはすぐにあることを感じた。 リンコは男性じゃないのか? という疑問に。 リンコは女性への性別適合手術を受けたトランスジェンダー。 さすがに驚きとともにどう接したらいいかわからないトモだった。
しかし、そんなリンコの手料理は美味しかった。 リンコはトモに好きな物を聞くと、トモは切干大根と、シジミのしょうゆ漬けと答える。 「オヤジみたい」 と普通な感じで冗談を言うリンコ。
次の日、彼女は学校を休み、遅くまで寝てしばらく家でゲームをしていた。 そんなトモにリンコはお弁当を作ってくれて働きに出ていた。 トモは家に行き荷物を取って、公演でお弁当を開ける。 そこにはタコの形のウインナーが入っていた。
リンコが帰ってくると、トモがトイレで唸っている。 テーブルには食べかけのお弁当が、もうそれは腐っていた。 トモはタコサンウィンナーがもったいなくて食べれず、、もう痛んでしまったものを食べてお腹を壊してしまったのだった。
彼女はリンコの作ってくれたお弁当が嬉しかった、しかしそれは今まで母親がしてはくれなかったことでもあった。 3人の生活が始まったのだった…

監督は荻上直子、2006年の 「かもめ食堂」 からはすべて作品を見ていますが、今作はちょっと監督としてはテーマ性の強い作品となっています。 基本脚本も書く監督、今作ではトランスジェンダーの女性を描いています。
主演のリンコには生田斗真、近作は 「土竜の唄 香港狂騒曲」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14637788.html ですが、今作は180度違う役でしたね。 
そしてトモ役には柿原りんか、映画デビューとなりますが、この子も実に良かった。辛いはずの境遇を、けっこう強がって、意地張って彼女なりに生きて行っていますが、クライマックスシーンのところは泣けるとともに、凄さも見せてくれました。
そしてトモの叔父役には桐谷健太、「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14247353.html ともまたうって変わった役でした。
こういうLGBTを扱った邦画は正直珍しいし、それ以上にジャニーズの生田斗真が演じること自体なかなか珍しいですね。 大柄で大きな手、もちろん顔立ちは綺麗ですが、どう見たって男の体格、しかし逆に一目でわかるからこそのキャスティングなんでしょうね。 実に良く演じていました。
トランスジェンダーとは、自覚する性別を “超えていく” “乗り越える” という意味合いがあるそうですね。 男性に生まれたのに、女性の心を持った人間が、心と同じ方に性転換手術を行う、そんな存在のことを一般的には言うそうで、「性同一性障害」 とは少し違う、それも含む広義的な意味とも言われていて、日々定義づけも変化しているというのは実情のようです。
それはさておき、主人公リンコの中学生時代、そしてその苦悩をしっかり受け止めた母親、そして命かけて息子(娘)を守った姿が結構強めに描かれていましたし、実は田中美佐子演じる母・フミコがいなかったら、リンコはここまで生活ができなかったかもしれない。
私はpod castで 「大竹まことのゴールデンラジオ」 を聞いていますが、火曜のパーソナリティーはるな愛が出ているんですね。 そこで彼女の今までの手術秘話などが語られるんですが、そういうところも映画の中ではリンコの体験として同じようなことが触れられていますね。
この作品は大変面白かったし、感動もしっかりできる作品。 母と娘、マキオとリンコ、そしてリンコとマキオとトモ、トモが母と二人とどちらを取るのが幸せなのか? トモの選択はどうするのか? ここが泣けましたね。
これは凄くて、良い作品でした。

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娘をおいて出て行く母

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そして叔父のところに行くトモ

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叔父のところにはリンコがいた

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リンコを必死に育てた母

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リンコはこれを必死に編んでいた

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