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奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ

2014年作品、マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール監督、アリアンヌ・アスカリッド主演。

貧困層が暮らすパリ郊外のレオン・ブルム高校の新学期。 様々な人種の生徒たちが集められた落ちこぼれクラスに、厳格な歴史教師アンヌ・ゲゲン(アリアンヌ・アスカリッド)が赴任してくる。
彼女は歴史と地理を担当し、1年生のあるクラスを受け持つことになった。 しかしこのクラスは人種も、宗教も、家庭環境もバラバラ、そして何よりも試験の成績が悪くて希望のコースに入れなかった生徒ばかりだった。
当たり前のことだが、ヘッドホンをしたり、帽子を被ったり、頭に巻物をしたりは校内では許されない。 しかしそんなことも守れない、知らない生徒ばかりのクラスだった。
ゲゲンは、「教員歴20年。 教えることが大好きで退屈な授業はしないつもり」 と言う情熱的な教師なのだが、なかなかこのクラスは一筋縄ではいかない生徒たちばかりだった。
歴史の裏に隠された真実、立場による物事の見え方の違い、そして学ぶことの楽しさについて教えようとする彼女の授業はまだましだったが、他の授業では、さらに荒れてしまい、退出させられる生徒、減点、警告をさせられる生徒が茶飯事だった。
黒人生徒のマリック(アハメッド・ドゥラメ) は、将来映画の仕事に尽きたいと思っていたが、どうしていいかわからない。 彼はイスラム教徒で、ある日ゲゲンの授業で、ムハンマドが地獄にいるとして描かれた絵について衝撃を受ける。 しかしゲゲンは 、キリスト教の立場に立って見れば、それはそういう表現となると、理屈に添って話すのだった。
しかし、ゲゲンが母が亡くなって休んだ時、代わりの教師がゲゲンの授業をしに来た 。 しかしもう教室は凄まじく荒れて、その女性教師は授業放棄してしまう。 生徒の代表の二人が職員室に呼ばれ、あまりにも酷いクラスの実情を聞かれる。
それを聞いていたゲゲンは、あることを生徒たちに提案するのだった。 それは全国歴史コンクールへの参加だった。 しかしそのテーマは、、「アウシュヴィッツ」 という難しいテーマだった。 そして当時のその強制収容所での、少年、子供についてレポートか、プレゼンテーションをするというものだった。
もちろん生徒からはブーイング、しかしゲゲンは生徒たちを信じ、イヴェット(ジュヌヴィエーヴ・ムニッフ)というベテラン教師と共に、取り 組んでいくのだった…

監督はマリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール、製作、脚本も担当しています。これも事実を元にした作品で、おそらく本当にどうしようもないクラスだったことが感じ取れますね。
もちろんこのレオン・ブルム高校は成績のいい進学クラスもあるようで、途中校長は、ゲゲンのクラスに対して、彼女に力を入れなくても良いとまで言いさじを投げるんですね。 しかし彼女はにっこり笑って、受け流します。
自分がクラスの生徒を信じなくなったら、もうこのクラスの生徒はおしまいになり、まっとうな道に進めない。 彼女の笑いの中に大きな決意を感じるシーンでした。
そして彼女はある人物と生徒たちを合わせるんですね。 ここから生徒たちは劇的に変わります。 その人物の体験談に、ほとんどの生徒が涙するシーンは、この作品のハイライトでしょう。
主演のゲゲン役にはアリアンヌ・アスカリッド、「キリマンジャロの雪」 では主人公の妻役を好演していましたが、今回は不屈の教師、こんな教師は日本では最近いるんでしょうか?
この作品もアウシュビッツを取り上げた作品ですが、第二次世界大戦さえ、もしかしたらぴんと来ない世代にも、決して再び起こしてはならないホロコーストを、語り継いでいくための大きなテーマを扱った作品でした。

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ばらばらのクラス

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しかしゲゲンがあるテーマを持ち込む

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だんだんとまとまっていくクラス

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そしてグループ同士も連携を

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クラスがひとつに

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