anttiorbの映画、映像の世界

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日本の黒い夏 冤罪

2001年作品、熊井啓監督、中井貴一主演。

1995年初夏、松本市。 高校の放送部に所属するエミ(遠野なぎこ)とヒロ(斎藤亮太)は、一年前に起きた “松本サリン事件” での一連の冤罪報道を検証するドキュメンタリー・ビデオを制作していた。 ふたりが訪れたのは地元のローカル・テレビ局。 この放送局以外、どこも協力的ではなかったのだ。
さて、局では報道部長の笹野(中井貴一)と彼の部下で記者の花沢(細川直美)、浅川(北村有起哉)、野田(加藤隆之)がふたりのインタビューに答えてくれた。 彼らは、事件当時の取材の様子を回想する。 それは、閑静な住宅街で突然起こった死傷者を多数出した有毒ガス事件だった。
翌日、警察は事件の被害者であり、第一通報者でもある神戸俊夫(寺尾聰)の自宅を、容疑者不詳のまま殺人容疑で家宅捜査し、数種類の薬品を押収。 その中から青酸カリが見つかったことから、 神戸が薬品の調合ミスを犯して有毒ガスを発生させたとのではないか、という見解を示した。
一方、スクープが欲しいマスコミ各社は、裏が取れていないにもかかわらず、警察情報として神戸が犯人であるかのように受け取れる報道を開始。 更に、それを鵜呑みにした視聴者は神戸一家を迫害し始めた。 もはや、神戸が犯人であることを誰もが信じて疑わなかった。
暑い夏の始まりだった…

1994年に起こった忌まわしい事件 「松本サリン事件」、そこにおいての冤罪事件を扱った原作ドキュメンタリーの映画化ですね。 原作は、長野県松本美須々ヶ丘高等学校放送部制作のドキュメンタリービデオ作品 『テレビは何を伝えたか』 (第43回NHK杯全国高校放送コンテストラジオ番組自由部門優勝作品)を、監督・脚本を手がけた熊井啓が映画にしました。
この事件は、当時はさっぱりわからない事件でしたね。 松本市という、都心から遠く離れた場所で、ガス中毒で8人死亡、重軽傷者は660人という大惨事が起こりました。
ちょっと化学的な知識があるなら、毒ガスは、マチスドイツのガス室で使用されたツィクロンBがまず浮かびますね。 しかしそれは一か所の閉鎖空間に集めて行われたことで、風に漂って各家庭に入り込み、こんなに強力なのは、しっかりした化学知識のブレーンがいたからと、思ってしまいました。
しかしいきなり “サリン” が特定まで行ったかどうかはわかりませんね。
そして逆に、サンプルレベルでいろんな薬品を所持していた第一通報者が真っ先に疑われてしまいます。 もちろんだんだんと、個人でこの大量殺人兵器を作り出せないと分かり、決定的なことが起こるんですが、途中までは一切作品中の神戸氏に疑いが向く方向を、修正しようとはしない警察、マスコミ。ここは大変憤るところですし、今から20年前も面子とか、くだらない先入観、決めつけが行われているんですね。
オウム真理教サリン事件は、私の通勤している線で起きました。 時間がちょっとずれてれば、何かしら被害をこうむっていたと思いますし、発生場所は違っても不審者を見たかもしれません。
この作品は、最後の方に事件のドラマ部分が入っています。 事件の全容がわかったところでの再現ドラマという作りになっていました。
これも決して起きてはいけない、世界的な化学テロでした。

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二人が製作をしていたドキュメンタリー

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地元の新聞社が取材を受けてくれる

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当時の取材状態

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彼は最初の被害者だったのだが

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刑事に食い下がる笹野

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