anttiorbの映画、映像の世界

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昆虫大戦争

1968年作品、二本松嘉瑞監督、園井敬介、川津祐介出演。

「人類は、この瞬間に核エネルギーを手に入れた。 その時から核の恐怖が始まった」 
ある日、米軍の水爆機がベトナムへ向かっていた。 しかし乗組員のチャーリー(チコ・ローランド)がいきなり苦しみだし暴れだしてしまう。 その時、途中の米軍の水爆機の前方に毒虫の大群が現れた。 そして、水爆機は亜南群島近海に墜落する。
ちょうど、南海のある島に、秋山(川津祐介)は昆虫採集に来ていた。 岩場にある小さな浜辺で、アナベル(キャシー・ホーラン)と過ごしていたのだった。
彼は飛行機が墜落するのを目撃した。 それが、水爆を積んだ米軍戦略爆撃機だったが、一万メートルの高度から、燃え盛りながら墜落して行った。 秋山はすぐにパラシュートが降下した方に向かっていく。
グアム島の司令部では、ゴードン中佐に水爆回収の作戦が下された。 米軍捜索隊は島の洞窟に、アゴの肉をえぐり取られて死んでいる機長と副操縦士、そして記憶を喪失しているチャーリを発見。 一方秋山は軍用時計を拾ったことから機長と副操縦士の殺人容疑をうけてしまった。
彼は取り調べの時に、ア ナベルのことを言えなかったのだが、東京生物科学研究所の南雲にだけは彼女が証人ということをほのめかす。 南雲は直ちに近くの島に住むアナベルに無実の証言を頼んだ。 しかし彼女は、はっきりとした証言を拒むのだった。
そしてチャーリーが気がついたが、彼は記憶を失っていたのだった。
米軍は、水爆の落下地点、水爆の回収調査に躍起になっていた。 そしてチャーリーの記憶を取り戻す試みが行われるのだった…

松竹の特撮路線のこれも代表作、「宇宙大怪獣ギララ」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13785392.html を撮った二本松嘉瑞の最後の監督作品、この後監督をしていないようですが。
ちょうどこの前に 「吸血鬼ゴケミドロ」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13789262.html が公開されていますから、映画自体は、そちらの色が濃い作品ですね。
やはり、当時の世界情勢、米ソ冷戦、核戦争の恐怖、世界の終末が色濃く描かれています。 
では昆虫との関わり合いは? その視点がこの作品を象徴的にしているとともに、人間とはいかに、自然の摂理を逸脱しているのかが、強烈な風刺になっています。
物語は、いきなり水爆を積んだ米軍機から始まります。 その機を襲ってくる昆虫の大群、しかしそんな高いところを昆虫が通常では飛べないんですが、これが特殊な毒を持った昆虫で、やたら強い種なんですね。
そしてそれに刺されると、体内に卵を産み付けられ、人間は死に至る。 さ らに死までにはとてつもない苦痛、幻覚を見せられる。 これは昆虫が、核兵器、水爆に手をかけてしまったことに対する、警告、復讐なんですね。
ゴケミドロと一緒で、この作品も破滅的なラストを迎えます。 しかし北朝鮮が今になって水爆実験をする世の中ですから、この作品がよりリアルに見ることができてしまいました。

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秋山とアナベルは水爆機を発見

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生存者のチャーリー

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記憶を取り戻したチャーリーを狙う輩

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謎の行動を取るアナベル

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秋山と妻のゆかり

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