anttiorbの映画、映像の世界

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少年と自転車


シリル(トマ・ドレ)は、もうすぐ12歳になる少年。 彼は必死に電話をかけている。 それは今までいた家の電話、しかしもうその番号は使われていない。 彼は自転車を見つけるため管理人に連絡を取ると言い出し、脱走する。 しかしすぐに捕まってしまう。
次の日、学校へ行くふりをして父・カトゥル(ジェレミー・レニエ)と暮らしていた団地へと向かうが、呼び鈴を押しても誰も出ない。 探しにきた学校の先生から逃れようとして入った診療所で、美容院を経営する女性サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)にしがみつくシリル。 「パパが買ってくれた自転車があるはずだ!」 と言い張るが、部屋を開けるともぬけの殻。
ある日、シリルのもとをサマンサが訪ねてくる。 シリルの話を聞いて自転車を探し出し、持っていた人から買い取ってくれたのだ。 「乗っていたそいつが盗んだんだ!」 と憤るシリル。 サマンサに週末だけ里親になってもらうことを頼み込み、一緒に過ごしながら、父親の行方を捜し始める。
やっと戻ってきた自転車で父の居所を探そうとするシリルだが、直ぐに自転車を盗まれそうになってしまう。 盗んだ奴は仲間が何人かいた。 何とか取り戻したシリルは、また父の居所を探し始める。 そしてやっと見つけたガソリンスタンドにあった“自転車を売る”という貼り紙を見て、大切にしていた自転車を売ったのは父親だったことを知る。
ショックを受けるシリルは、ふてくされたようにサマンサの仕事の邪魔をする。 早く父に電話したいからだった。 自転車を買った人に父の居場所を聞くが知らないと言われてしまう。
そしてそんなシリルの姿を見てサマンサは、施設から父の居場所を聞き出しシリルを連れて行くのだった…

最新作の 「サンドラの週末」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13119965.html  を見て、過去作も見て見たいと思い視聴しました。
同じようなタッチの作品でしたが、ここも少年をある期間を切り取った作りの作品でした。
この兄弟の監督はもともとドキュメンタリーを多く撮っていたようですね。 それでこのタッチは納得できるような気がしました。 あまり演技を必要としていない感じなんですね。 とても自然に見え、却ってそれが心にグサグサ来る感じがします。
シリル役のトマ・ドレは役者なのかな? それとも素人を使っているんでしょうか? それが物凄くリアルなんですね。 とても自然で、この心が壊れそうな少年を非常によく表しています。
この作品も、最新作と同じように、根底には息子を切り 離さなければ生きていけないという生活状態があります。 もちろん父の困窮はわかりますが、おそらく予想されるのは今まで祖母にシリルをまかせっきりだったんでしょうね。
シリルは母親の愛情に飢えているんですが、サマンサにうまく甘えられない、素直に慣れないと言う不安定な感情が伝わってきます。
この後シリルにある事件が降りかかってきて、そしてそれが原因でさらにある事件が。
悲しいラストなんですが、ある意味自分のまいた種でもあります。 それを受け入れることができるのかがポイントになっていました。
父子家庭、なかなか男の親も辛いのはわかりますが、あまりにも責任の無い父親の姿も心が痛い作品でした。

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必死に電話を掛けるシリル

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自転車を取り戻してくれたサマンサに里親をお願いする

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何とか父に会うことができるが

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サマンサはシリルが気になって仕方がない

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2人の中は縮まっていくが

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