anttiorbの映画、映像の世界

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ハッピーエンド


難民が多く暮らすフランス北部の街カレー。
大規模な陥没事故が起きてしまう。 そこで働いていた作業員4人が怪我をしてしまうのだった。
瀟洒な邸宅で三世代同居するブルジョワジーのロラン家では、建築業を営んでいた家長のジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)が高齢のため、すでに引退。 家業を継いだ娘のアンヌ(イザベル・ユペール)は、取引先銀行の顧問弁護士・ローレンス(トビー・ジョン-ズ)を恋人に、ビジネスで辣腕を振るっていた。
だが、専務を任されていたアンヌの息子ピエール(フランツ・ロゴフスキ)は、ビジネスに徹しきれない。 使用人や移民労働者の扱いに関して、祖父や母の世代に反撥しながらも、子どもじみた反抗しかできないナイーヴな青年だった。 また、アンヌの弟トマ(マチュー・カソヴィッツ)は家業を継がず、医師として働き、再婚した若い妻アナイス(ローラ・ ファーリンデン)との間に幼い息子ポールがいた。 さらに、幼い娘を持つモロッコ人のラシッド(ハッサム・ガンシー)と妻ジャミラ(ナビア・アッカリ)が、住み込みで一家に仕えている。
一家は同じテーブルを囲み、食事をしても、それぞれの思いには無関心。 SNSやメールに個々の秘密や鬱憤を打ち込むばかり。 ましてや使用人や移民のことなど眼中にない。
そんな中、トマは、離婚のために離れて暮らしていた13歳の娘エヴ(ファンティーヌ・アルドゥアン)を、一緒に暮らそうと呼び寄せる。 彼女の母が倒れてしまい、一命を取り留めるが、しばらく生活が無理な状態だった。 こうしてジョルジュは、疎遠になっていたエヴと再会することになるが、二人があったのはまだエヴが幼い時で、もちろんエヴに記憶はない。
しかしジョルジュも、記憶にないと言いはじめる。 ボケて来たのか。
ピエールは、事故でけがを負った従業員に面会に行くが、そこにいた男に暴行を受けてしまう。 本来は警察に行くべきだったが、彼の心は折れてしまい、どんどん引きこもって行ってしまう。 アンヌはそんな息子にいら立ちを隠せないが、でも息子なので放っても置けない。
トマは、一人になってしまったエヴの世話を時間が許す限りしていくが、しかしエヴは心の闇を持っている少女だった…

いやー、なかなかどんよりっとした、いかにもの作品でした。
監督はミヒャエル・ハネケ、「愛、アムール」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/8899188.html 「白いリボン」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10319087.html 「ピアニスト」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12880101.html ハネケ作品はまだ見切れていませんが、いつも唸らせられます、いろんな意味で。
主演はイザベル・ユペール、「エル ELLE」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15114740.html 「未来よ、こんにちは」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14829198.html が近作ですね。
父役はジャン=ルイ・トランティニャン 、「愛、アムール」 出の夫役が無性に悲しかったですね。
そして肝になるエヴ役でファンティーヌ・アルドゥアン、「少女ファニーと運命の旅」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15084705.html でエリカ役をしていましたが、この子は化けるかもしれませんね。

物語はある一族の群像劇ですね。 建設業を営んでいるロラン家、しかし会社を継いでいるのは、娘のアンヌなんですね。 男である弟のトマは、家業を継がず、医師をしています。 二人とも離婚歴があり、アンヌの前夫は登場しませんが、トマの前妻、エヴの母は冒頭にちらっと出てきます。 そしてこの冒頭の二つのシーンがスマホの動画となっており、ここが怖いんですよね。
この作品、肝心なところがエヴの視点になっています。 母が倒れたのに、あまり執着しないエヴ、もちろんこの家に馴染んではいないんですが、だからといって普通はしっかりと対応をしていて、決して反抗的な態度はとりません。 ただ、ある部分で驚く行動を取ったり、ギクッとする質問をしたりします。
しかしエヴのことをしっかり見て、分析しているのがなんとある人物なんですね。
これはラストがまたスマホの映像になっています。
ハネケの作品は、見終わったと何とも言えない余韻が漂うんですが、今作もやはりそうでした。 何か、前作 「愛、アムール」 の続編のような感じも受けるシーンもあり、ある意味また衝撃を受けるお話でした。

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ジョルジュ

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アンヌ

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ピエール

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トマ

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アナイス

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そしてエヴ

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