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第9地区

2009年作品、ニール・ブロムカンプ監督、シャールト・コプリー主演。

28年前、正体不明の巨大宇宙船が突如、南アフリカ共和国に飛来した。 しかし、そのUFOは首都ヨハネスブルグ上空に浮かんだまま、まるで動こうとしない。 痺れを切らした南アフリカ政府はヘリコプターで偵察隊を派遣。 船内で彼らを待ち受けていたのは、不衛生で弱り果てたエイリアンの群れだった。 彼らは故障した宇宙船に乗った難民だったのだ。
処遇が決まるまで、エイリアンはヨハネスブルグにある第9地区仮設住宅に住まわされることになる。 だが、言葉も通じず、野蛮で不潔なエイリアンたちが一般市民と折り合いがつくはずもなく、彼らは下級市民として蔑まれる。
何の進展もないまま月日が流れ、エイリアンの管理事業は民間企業マルチ・ナショナル・ユナイテッド社(MNU)に委託されることになった。 軍事企業でもあるMNUの傭兵部隊によって、力による平和が訪れるかと思われたが、MNUが彼らの世界に介入することはなく、第9地区はスラムと化していく。
市民とエイリアンの対立が激化したことを受けて、MNUは第9地区から郊外にある第10地区へ彼らの強制移住を決定。 第10地区は第9地区よりもさらに劣悪な環境だったが、MNUは彼らの福利厚生に興味はなかった。
立ち退き作業を始めるにあたり、MNUはヴィカス・ヴァン・ダー・マーウィ(シャルト・コプリー)を現場責任者に指名する。 事情を把握していないエイリアンたちから、承認のサインを無理矢理取りつけるのが彼の任務だった。
ヴィカスは突然の重要な役目を与えられ、抜擢されたと感じた。 そして彼はいきなりの責任ある立場にちょっと舞い上がってしまい、すべて撮影させ、エイリアンに高圧的に迫るのだった。
この第9地区には、エイリアンだけではなかった。 そこには黒人のナイジェリア・ギャング集団が潜伏している。 エイリアンを食いものにしつつ共存しており、食料を売り、賭博場を開き、エイリアン相手の売春を行ってもいる。 使用はできないもののエイリアンの武器には注目しており、彼らの単純さに付け込んで、大量の武器を安く買い叩いては保管している。 エイリアンの体を食べることで万病を癒し、エイリアンのように強くなれるという呪術的な信仰も発達させている。
ヴィカスは実はとんでもない役目を帯び、とんでもないところに入って行くのだったが、まだそれをしっかり認識していないのだった・・・

30歳になるかならないかだったニール・ブロムカンプ監督。 なんと若い才能を持った監督が現れたと思いましたね。 次作の「エリジウムhttp://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10287883.html も劇場で見ましたが、この長編第1作も息子と鑑賞しましたし、今回公開の「チャッピー」に先駆けて、見直しました。 また息子も全編見ていました(^^)
エイリアンの難民、今までにない設定と、ドキュメンタリー方式での冒頭部分。 モキュメンタリー方式の撮り方から、ヴィカスに変化が出たところから物語になっていきます。
舞台となるのが南アフリカというところが、この作品の肝であり、エイリアンは“エビ”と呼ばれ最下層民として差別されているんですね。 実際、野蛮で、どんどん退化、劣化して行っているような設定です。
しかしこの後、ジェイソン・コープ演じるクリストファー・ジョンソンというエイリアンが、一方の主役となり、唯一知的な存在で、彼のみが本気でここを脱出する方法を知っています。 また彼には息子のエイリアンがいて、子供も優秀なんですね。リトルCJと呼ばれており、ヴィカスに何故か懐いて行きます。
もちろんこれは差別問題が背景にあり、ヴィカスの立場の変化を見ているのが一番面白いんですね。 最後の最後まで、人間を上位に置くヴィカスが最後取った行動、ここが一番グッとくるシーンでした。
ヴィカスのその後はどうなったんでしょう?「第10地区」という続編の噂があり、監督自身、話の構想はあるようですが、まだ実現する保証がないんですね。
傑作なだけに、慎重に作るならいい作品にしてほしいですね。

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会社内ではあまり優秀とは言えなかったヴィカスイメージ 2
この空間で停止して28年

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早速仕事開始のヴィカス、ワクワク感が顔に出ている

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体力的に少し優位なエイリアン

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しかしある液体に触れ、体に変化が出てきたヴィカス

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そしてある行動に

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