anttiorbの映画、映像の世界

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一枚のハガキ

2011年作品、新藤兼人監督、大竹しのぶ豊川悦司出演。

昭和19年の夏、天理教の本部に戦争末期に召集された100人の中年兵は、ここに各隊の宿泊地となるので、掃除に駆り出された。 そして次の任務に着くため上官がくじを引いて、決めた戦地にそれぞれ赴任することになっていた。
60名はフィリピンのマニラ、30名は潜水艦に乗る、残り10名は、宝塚に掃除に行く。
クジ引きが行われた夜、松山啓太(豊川悦司)は仲間の兵士、森川定造(六平直政)から妻・友子(大竹しのぶ)より送られてきたという一枚のハガキを手渡される。
「今日はお祭りですがあなたがいらっしゃらないので何の風情もありません。友子」 検閲が厳しくハガキの返事が出せない定造は、フィリピンへの赴任が決まり、生きて帰って来られないことを覚悟し、宝塚へ赴任する啓太にもし生き残ったらハガキを持って定造の家を訪ね、そのハガキを読んだことを伝えてくれと依頼する。
森川は村から出兵する時に盛大に送り出してもらった。 しかし彼は戦死してしまった。 残された妻の知子と、年老いた両親、勇吉(柄本明)とチヨ(倍賞美津子)は、知子に残ってほしいと懇願する。
働き手が ないからだった。 そしてもう一つの願いは、次男と再婚してほしいと言うことだった。 次男の三平(大地泰仁)はねえさんと呼ぶが、彼女はそれも受け入れた。
しかし三平のところにも召集令状が来るのだった。
またもや盛大に送り出される三平だったが、同じように戦死してしまう。
戦争が終わり100人いた兵士のうち6人が生き残った。 その中の一人、啓太が故郷に帰ると、待っている者は誰もおらず、家の中は空っぽだった。
啓太が戦死したという噂が流れ、恋人同士になってしまった妻(川上麻衣子)と啓太の父親は、啓太が生きて帰ってくるとわかり二人で出奔したのだった。
なんともやりきれない啓太、そんな時彼はブラジルに移民することを考え始める。そしてその準備をしていると、一枚のハガキが出てきた。 森川から預かったハガキだった・・・

新藤監督は100歳近くまでメガホンを取ったんですね。 そしてこの映画の上映から1年後、100歳で天寿を全うしました。
遺作となったこの作品は、反戦映画という側面以上の、人間として生きる執念という感じを受けますね。
大竹しのぶ演じる友子は戦争で夫、次男、さらにその後、義父、義母といずれも亡くしていくんですね。特に義母の死は痛ましかったですね。
そして環境は違いますが、生き残ったにもかかわらず、人生がくるってしまった男、豊川悦司演じる松山。 彼は全く違う感じで妻と父親を失くします。
そして出会った二人、しかしそこにもまたドラマがあるんですね。
また出演陣も豪華でした。 上記以外にも、大杉漣津川雅彦も出演しています。
ラストも、予想をひっくり返す展開で、それもありかなと思えるエンディングでした。 私は監督作品は初めてでしたが、なかなか骨太の作品でしたね。

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森川定造に召集令状が、妻との別れ

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盛大なお見送り

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森川は戦死し、生き残った松山は彼から預かった手紙を見つける

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そして実家を訪ねると

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