それをお認め頂くため、大老にお目通りしに行く志村。 しかし直弼は何も言わずに、ただ庭を見つめていた。 そしてその時、鶯が鳴いた。 大老はこれを聞きたかったのだ。 そして「そちが来たら鳴いた。そちは縁起のいい男だ。」 そう言ってお取り立てを認められた。 そしてそんな人柄に感激したのは志村だった。
道場で、激しくぶつかる同期の内藤新之助(高嶋政宏)、稽古が終わって蕎麦屋で、内藤は激動する世の中で、武骨な彼に時代の変化にあった生き方を進めるが、志村はただ井伊直弼が好きだからと笑って今の仕事を励むと言い切るのだった。
そして出世と合わせて、セツ(広末涼子)という嫁を貰うことになった。わが世の春の志村だった。
60数名の警護の前に、訴状を持った男が現れた。 直弼は邪険にせず訴状を受け取ろうと命じたその時、男は突然刀を抜いた。 それを合図に一斉に刺客が出てきた。 一人の男に大事な槍を取られたので、志村はその男を追った。 雪のため結び目がほどけず、脇差で戦った志村だが、それでも男に傷を負わせ槍を奪い返し、籠に戻った時には、もうすでに井伊直弼は討ち取られていた。
主君を 守り切れなかったことを悔やんでも悔やみきれない彦根藩士・志村金吾(中井貴一)のもとに、仇を討てとの藩命が下る。 せっかくもらった嫁のセツだが、離縁を言うと、セツは本懐を遂げるまで傍にいたいと言い切るのだった。
しかしここからが志村とセツの苦難の始まりだった…
“桜田門外の変”は、歴史的の評価の別れる事件だと思います。 過激に維新の志士である吉田松陰とかを断罪した“安政の大獄”などは、マイナスのイメージですが、いち早く海外との門戸を開いたことなど、彼の功績も評価されています。
物語でもここらあたりは触れられていますが、志村はこのあと13年も井伊直弼の仇討に執念を燃やします。 いったい彼をそこまで執念を燃やした理由はなんなのか?
仇討禁止令が発布されたことにより、彼の仇討がどうなるのか? 急速に文明開化が進む世の中で、残った武士たちはどう生きていったのか?そこでラストの決戦の結末に重要なことが示されるのです。
歴史の大きな事件の陰に人生の大きな部分を費やさられた男たち、この後は新しい時代で幸せを掴んでほしいと思った作品でした。