anttiorbの映画、映像の世界

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逃走迷路

1942年作品、アルフレッド・ヒッチコック監督、ロバート・カミングス主演。

カリフォルニア州グレンデールの航空機会社の工場、バリー・ケーン(ロバート・カミングス)と友人のケン・メイソンは8時の開門と同時に工場に入ってきた。
狭い通路で男とぶつかりメイソンは倒れてしまった。 男は何か落として行ってしまった。 拾ってあげたが100ドル札を落としていた。 拾った封筒には 「フライ」 と書かれていた。
二人は食堂でフライ(ノーマン・ロイド)を見つけ100ドルを渡してやった。 しかし何故か名前を呼ばれたフライは妙に驚いて、「なぜおれの名前を知っている?」 と言った。
そしてその直後火事が起こった。 メイソンは果敢にも消火器を持って消しに行ったが、何故か炎の勢いが強くなりメイソンは炎に包まれ命を落としてしまった。
事情聴取で、スプリンクラーが壊れていることがわかった。 そしてケーンはメイソンがフライから消火器を渡され消しに行って亡くなったと話した。 友人を亡くし意気消沈のケーンだが、メイソンの母親に報告をしに行く。
メイソンの家の母は、遺体を見せてもらえないと泣いていた。 しかしケーンが言ったその直後に警察が訪ねてきた。 ケーンに容疑がかかっていると言うのだ。
メイソンの母はその場で席を外していたケーンを庇い来ていないと言うが、心中は複雑だった。 ケーンは工場に火をつけ破壊工作をしたという容疑者にされていたのだった。
警察はフライなんて男はいないと言うのだった。 そしてケーンは彼がもっていた封筒を思い出そうとするのだった。 その封筒に何が書かれていたのか? 「ディープ・スプリングス牧場」 ということを思い出した。 ケーンはそこに向かいフライを探すことを決心したのだったが…

ヒッチコックアメリカ進出してから5作目の作品です。 今から71年前ということですが、テンポの良さはさすがですね
ヒッチコックの作品の見やすさはこのテンポ感が一つあると思います。 あまり無駄な部分が無いんですね。 それでいて雑な感じはしないんですね。
時代背景からして第二次大戦中で、公開時はアメリカも参戦していました。 民主主義という言葉が強調されるシーンもあり、対比でファシストを非難するシーンもあり、ヒッチコックのスタンスがわかりますね。
破壊主義者、今でいうテロリスト組織が描かれていますが、一見地位も名誉も金もある者たちが、それを隠れ蓑にして様々な破棄工作をするところは、ただ反ファシズムという側面でもなく、当時台頭してきた社会主義思想も根底に描かれている作品です。
しかし無実の罪で逃げている主人公を助けてくれるのは、盲目の老人であったり、サーカスの団員であったり、ハンディキャップを負いながら逞しく生きている者たちであるところに、ヒッチコックの描く思いが出ていますね。
最後の自由の女神のシーンは有名ですが、71年前にどういった手法で撮ったのかが非常に問題となり、彼の映像がいかに当時として画期的であったのかが今でも語り継がれている名シーンですね。
決して色あせていない良い作品でした。




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追われることになったメイソンを助けるパット


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必至に逃げるメイソン

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手がかりを追って

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そして犯人を追いつめるが

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あわれ

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