秀雄（板尾釧路）が持っている空気人形。 彼は空気人形を夜の友としてだけでなく、服を着せて夜中に公園に連れて行くほど、大事に？している。 普段はファミリーレストランで働いているのだが、なかなか要領よく働けていない男。
ある日男が出かけていくと、人形はふと動き始める。 心を持ってしまったのだ。 彼女（ぺ）は初めて部屋の外に出てみる。 だんだんと言葉を話し始め見ることすべてが新鮮だった。
主人が帰って来る頃には部屋に戻り、いつもの空気人形となる。
ある日レンタルビデオ屋に入って、だんだんとこの店になじみ、ついには働き始めてしまう。 バイトの男の純一（ＡＲＡＴＡ）は優しく、いろいろフォローしてくれる。 もちろん映画の知識は無いのだけれど店長の鮫洲（岩松了）や純一は客の質問にすらすら答えるのを見て、一生懸命勉強していく。
ある日整理をしているときに手に穴をあけてしまい、空気が漏れてしまう。 その時に穴をふさぎ、空気を入れ直してくれた純一、驚くよりも手際の良さが不思議なくらい。 「私は空っぽ、中身が無い」 と言うと 「僕も同じだ」 と言う。
ところがある日から彼女は家では押し入れに入れられてしまう。 不審に思って主人が風呂に入っているときに部屋に行ってみると、自分とは違う空気人形があった。今まで心を持っていたことを隠していた彼女は、ついに主人に私は動けることを明かしてしまうのだった・・・
切なくつらい映画と言う場面もあり、人形が動くこと自体ある種悲劇かもしれません。 ただ純粋に生きよう（動こう）とする彼女の姿に自然と涙が出る作品です。
純一にレストランに連れて行ってもらうシーンがありますが、彼女はものが食べれません。 ふと横に父と娘が食事をしており、その日は娘の誕生日でした。 そのサプライズ的な演出に心奪われるシーンも秀逸でした。
また人形師としてオダギリジョーが出てきますが、彼女を見たとたん発する言葉 「おかえり」 と言うシーンもまた良かったです。
ぺ・ドゥナの作品は初めて見ましたが、不思議な魅力を持った女優さんですね。 彼女の周りの登場人物はここに書いた以外も、いろいろ出てきますが、その一人一人にも物語がありこの描写もうまく出ていますね。
これもＲ15ですが、この指定にもちょっと疑問です。 いい作品は良いものです。
