anttiorbの映画、映像の世界

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淪落の人 

2018年作品、オリヴァー・チャン監督、ヒミー・ウォン イップ・トン サム・リー クリセル・コンサンジ出演。


突然の事故で半身不随となってしまった中年男、リョン・チョンウィン(アンソニー・ウォン)。 妻とは離婚、息子とも離れて暮らし、人生に何の希望も見いだせないまま、ただ日々を過ごしていた。 妹のジンイン(セシリア・イップ)との関係も思うようにいかず、慰みは唯一の友人である元同僚のファイ(サム・リー)との会話と、海外の大学に通う一人息子の成長だけ。

そんなある日、チョンウィンの家に、若いフィリピン人女性エヴリン(クリセル・コンサンジ)が住み込み家政婦としてやって来る。 だが、広東語が話せない彼女にチョンウィンは苛立ちを隠せない。 それでも片言の英語で会話をしながら、ひたむきに介護を続けるイヴリンの姿は、緩やかに彼の心をときほぐし、次第に2人は親友のような関係になっていく。

やがて、チョンウィンはエヴリンが家族のためにやむを得ず写真家への道を諦めたものの、今でも心の中で夢を追い求めていることを知り、彼女の夢を叶える手助けをしようと思い始める……


これは中盤から涙がポロポロこぼれてきました。
監督はオリヴァー・チャン、若いアジアの才能を感じる女性監督ですね。 長編初作品ということです。
主演はアンソニー・ウォン、「桃さんのしあわせ」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/9249021 「ブラック・マスク」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/13519010 を記事にしています。
エヴリン役はクリセル・コンサンジ、彼女は舞台女優ということで、映画初出演でした。 素晴らしい女優さんですね。 細やかな演技は、清楚で美しかったです。


物語は、事故で下半身が動かなくなり、そのために離婚して一人暮らしで偏屈になってしまったチョンウィンのお話です。 住み込み家政婦が、彼の煩さで長続きせず、やっと来たのもフィリピン人で、広東語が話せない女性でした。 しかし追い返すわけにもいかず、彼を恩人と慕うファイの助けを借り、彼女が住み込みで働き始めます。 彼女の部屋は昔息子がいた部屋。 彼は母と、再婚相手とともに海外で暮らしていて、たまにネットで会話するくらいです。
エヴリンは、すぐにネットで同郷で香港で働く友達を見つけます。 みんな同じように住み込みで家政婦をしています。 そして、彼女たちから長続きしながら、うまく手を抜く方法を教えられます。
しかし彼女の真面目さ、そしてお互いの言葉を覚えあいながら、だんだんと信頼が芽生えていきます。


今作は、香港の現状、そして障碍を負ってしまった人の生活の厳しさ、そしてフィリピンから出稼ぎのためやってきた女性たちの苦労、様々なテーマが入っています。

障碍者と家政婦、ただのビジネスだったらお互いに要求と最低限の義務で終わります。しかし人間はそうではないんですよね。 お互い背負っているもの、過去、そして夢、それに触れていくことで、人間とはなにか、人間らしいあり方とはなにか、そんなことにどんどん触れていきます。
何よりも、相手のために何ができるのか? その考えになったときに自然と涙がこぼれてきます。 チョンウォンはもう人生に希望が無くなっていますが、そんな彼が、夢を持ったエヴリンに何かをしてあげようという尊い心を思い出したのが、なんとも素晴らしく、うれしい瞬間です。

 

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事故で下半身の自由を失ったチョンウィン

 

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そこに家政婦としてやってきたエヴリン

 

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言葉がうまく通じなかったが

 

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フェイの助けもあり

 

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だんだんと心が通じていく二人

 

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そして彼女にカメラをプレゼントするチョンウィン

 

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