anttiorbの映画、映像の世界

不定期で、旅ブログも立ち上げます!

ソローキンの見た桜

2019年作品、井上雅貴監督、阿部純子 ロデオン・ガリュチェンコ 山本陽子 アレキサンドル・ドモガロフ出演。

2018年、愛媛県松山市、ここには昔ロシア人の捕虜収容施設があった。 戦争終結後、多くはロシアに帰っていったが、怪我や病気のために祖国に帰れなかったロシア人のお墓があり、毎年そこではしっかりと法要を行い、墓を清掃することが地元の子供たちの手で行われている。
墓石はすべて祖国の方角に向けて立てられている。
新人TVディレクターの桜子(阿部純子)は、里帰りついでに、先輩・倉田(斎藤工)の指示により写真を撮りに来たが、そこには彼女の祖母の高宮菊枝(山本陽子)も来ていた。 そこで倉田は話があるといい、桜子を呼んで、ロシアに一緒に行って欲しいという。 そのわけを聞くと、ある一人の墓がないことの真実を知りたいというのだった。
死亡したロシア人の記録よりひとつ少ない墓石に疑問を感じた倉田は、そこに何があるのかが知りたかった。 その人物はソローキン(ロデオン・ガリュチェンコ)、彼の日記がロシアで見つかったというのだった。 そして桜子は、祖母から、祖母の祖母:ゆいの日記を見せてもらうのだった。 そこには遠い昔のある物語が書かれていた。
日露戦争時代に看護師をしていた先祖・ゆい、ロシア兵と日本人看護師の日記を紐解いていくうちに、桜子はある事実を知る……
日露戦争時代。ゆい(阿部純子/二役)は弟・健二を戦争で亡くしロシア兵を許せずにいたが、ロシア兵将校ソローキンの手当てをすることになる。 当時、世界から一流国として認められるため、日本はハーグ条約遵守を意識し、ロシア兵捕虜のアルコールの購入や外出などの自由を認めており、松山市民とロシア兵捕虜は交流を深めていく。
ロシア兵を憎む一方でソローキンの寛大な心や女性を敬う考え方に惹かれていくゆい。 ソローキンもまた、ゆいの心の奥の悲しみを取り除きたいと願い始める。 しかしソローキンが捕虜となったのはある密命のためであり、ロシア革命に加わろうと収容所を脱出し帰国することにした彼はゆいも連れて帰ろうとするが…

これは大変興味深いお話ですね。
監督、脚本、編集は井上雅貴、長編2作品目ですね。 奥様はロシアの方ということですが、監督ならではの作品というんでしょうか。
主演は阿部純子、「サムライマラソン」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15891817.html に出演していましたが、今回は二役の主演でした。
そしてロデオン・ガリュチェンコ、ロシア人俳優さんのようですね。 もちろん初めて見ました。

物語は、日露戦争期と、現代を往復するような展開ですが、主には昔のシーンが多いですね。 看護師のゆいは、戦争で弟を失い、兄も片足を失って帰ってきました。実家の蝋燭店も後取りを失い、経営が行き詰ってきています。 そんな時に父は縁談をゆいに持ってきます。 相手は銀行員、家が持ち直すことは明白でしたが、ゆいは自由な気風の考えを持っていました。
彼女は負傷したロシア人の世話をするために、働いていましたが、そこで一人のロシア人将校と出会います。 でも、彼は皮肉なことに、弟の命を奪った船に乗っていたということでした。 憤るゆいですが、理性ではそれが戦争なのだという考えもあるんです。 そして高熱にうなされているその男・ソローキンを看病して、彼の優しさ、そして何か感じる強い意思に惹かれていきます。

今作は自主作品の部類に入るので、映像が荒れたところがあり、苦労がしのばれます。 しかし、なかなかのいいお話であり、本当にモデルのような題材があったのではと思えるほどでした。
謎解きのような部分もあり、イッセー尾形、 アレキサンドル・ドモガロフが好演をしていましたね。

イメージ 1
ロシア人捕虜が松山に来る

イメージ 2
看護師として働くゆいだったが

イメージ 3
出来る限りの自由が認められたロシア人

イメージ 4
そして彼は極秘に帰国をすることに

イメージ 5
そして現代、二人はロシアを訪れる

イメージ 6
そこであった人たちは

イメージ 7