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洗骨


沖縄の離島、粟国島。 ここに暮らす新城信綱(奥田瑛二)は、妻の恵美子(筒井真理子)を亡くし無気力になっていた。 恵美子の葬儀が執り行われ、東京の大企業で働く息子の剛(筒井道隆)と、名古屋で美容師として働く娘の優子(水崎綾女)が粟国島へ帰って来る。
信綱の姉、高安信子(大島蓉子)の支えで葬儀は終了するが、黙ったまま座っているだけの信綱に、剛は愛想を尽かせていた。
粟国島では昔から伝わる風習で、親族が死者の骨を洗い流す儀式 「洗骨」 が現在も続いている。 恵美子の葬儀から4年後、「洗骨」 を行う為に、新城家の家族が再び集まるのだった。
信綱は相変わらず無気力に生きており、周囲に断酒を約束したはずが、逃げるようにお酒を飲むようになっていた。 優子は、名古屋で働いている美容室の店長(鈴木Q太郎)と関係を持ち、子供を妊娠した状態で帰って来た。
そして剛は、一緒に帰って来るはずだった、妻と子供は東京に置いて、1人で戻って来る。
子供を産んでシングルマザーとして生きる事を決意した優子と、一方的に全てを決める優子に腹を立てた剛が激突し、喧嘩を始めるが、信綱には止める事が出来ないのだった。
信子が間に入り、喧嘩の仲裁をしようとしていた所に、1人の男が現れる。 突然、新城家を訪れたその男は、優子が勤める美容室の店長で、子供の父親、神山亮司だった。
一方的に結婚を決める亮司と優子。 うろたえるだけの信綱に、剛の怒りが爆発し、結婚にも反対し信綱を罵倒する。
また、剛も東京での生活に疲弊していた。 生活する場所だけでなく、心もバラバラになってしまった新城家は、「洗骨」 を前に、再び家族として、まとまる事が出来るのか…

これは面白かったですね。 というか、興味深かったし、こういう風習は残された人間にけじめをつけさせます。
監督は照屋年之、こう書くと誰だかわかりませんが、ガレッジセールのゴリといえばわかりますよね。 監督は2作目のようですね。 前作はみていませんが、この作品を見ると、デビュー作を見てもいいかなと思います。
主演は奥田英治、今作は不甲斐ない父をよく演じていますね。 近作は 「散り椿」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15708055.html ですね。 悪役を演じていましたが、そちらのほうがはまる感じに近年なっています。
そして筒井道隆、「聖の青春」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14574090.html が近作ですね。
水崎綾女は 「光」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14952271.html でダブル主演でした。 この作品も興味深い作品でした。

物語は “洗骨” という風習が残る粟国島で起きる人間ドラマです。 妻を亡くした新城信綱、彼は会社経営を失敗し、その借金を息子が返して以来、生きる屍となっていました。 でもそれを支えていたのが妻の恵美子だったようです。
しかし妻を失いさらにどうしようもなくなった信綱。 周りから酒をやめることを言われ彼は従いましたが、荒れ果てた生活に、彼はこっそりと酒を飲んでいたようです。
そして4年後の洗骨を迎えるんですが、息子も娘も大きな変化が起こっていたんですね。 はたして、無事洗骨は出来るんでしょうか?

今作は、なかなか面白かったです。 近しい人を失った心の穴は誰しも存在します。生活で紛れていく人もいるでしょうが、私の場合もそうですね。 でもこの作品の信綱は、4年たっても妻の死を信じられないんですね。 朝起きると、妻が戻っている、そんな幻想を毎日見ている、よく自殺しなかったと思いますが、そんな意思もなかったようです。
しかし4年に風葬になった死者をもう一度取り出して丁寧に洗ってあげる。 本土の火葬とはちがい、ここで本当のお別れになる、そんな節目をしっかりとつける、そしてもう一度生きていく力を得る、そんな作品に感じました。
そして今作はベテランの大島蓉子さんが秀逸でした。 彼女のような存在がいる事が信綱をこの世にとどめていたんでしょうね。

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信綱は妻が死んで一掃落ち込んでいた

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そして洗骨のために優子が

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剛が帰ってくる

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いよいよ明日は洗骨

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そして母のいる場所に向かう

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