九州柳川から文学を志し上京した北原白秋(大森南朋)は、美しい女性とねっとりと過ごしている。 そろそろ時間だといい家を出る白秋。 そこは隣家で、美人妻・俊子(松本若菜)と不倫をしている。 家に帰ると、誰かが来ている。 それはいつもお世話になっている与謝野晶子(羽田美智子)だった。
彼女は女性との付き合いも大概にしなさいとたしなめられるが、逆に晶子に言い寄るほど、だらしない白秋だった。
弟子達と、後輩達と、また同僚たちと、集まってはいろいろ四方山話をする白秋、しかしそんな気ままな生活が一変する事件がおきる。 いきなりの電報を貰って俊子の家に行くと、それは彼女の夫の策略で、妻の浮気の証拠をつかむ為だった。
幸せな結婚生活が始まると思った矢先、だが俊子は家出をしてしまう。 落ち込んだ白秋は入水自殺を図るが蟹に足を噛まれ断念する。 そんななか、日本の子供たちに日本人による “童謡” を創ろうと決起した鈴木三重吉(柳沢慎吾)は奇抜な詩で名を馳せていた白秋と、ドイツ留学を経て日本で初めて交響楽団を結成した音楽家・山田耕作(AKIRA)に童謡創作の白羽の矢を立てる。
しかし、始めから二人は大喧嘩、才能がぶつかり反目する二人だった。 しかし、大正12年、関東大震災の惨状を前に打ちひしがれた子供たちを元気づけるため、手を取り合い数々の童謡を発表することになる。 しかし、戦争の暗雲が垂れ込めるなか、子供たちを戦場に送り出す軍歌を創るよう命じられた二人は苦悩の淵に立つのだった…
北原白秋、その人となりを知るには良い作品では?
監督は佐々部清、はじめて見た監督作品は 「日輪の遺産」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10357039.html でしたが、「東京難民」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/11170639.html という苛酷な作品を見ています。
物語は詩人:北原白秋の人生を語る作品です。 冒頭で、北原白秋の追悼合唱会から始まります。 そこで年老いた山田が、インタビューを受けるんですね。 でも頑なに彼は北原のことは語らないといいます。 しかし、女性記者が粘った挙句、少しずつ彼は口を開いていきます。
白秋の人生はまさに自由奔放、時に女にはだらしがなく、とうとう姦通罪で逮捕されてしまうほどでした。 しかし、キャラとしては愛される、何とか先輩、友人、編集者の協力で保釈されます。 彼は、浮気相手と結婚し、あっという間に逃げられてしまいます。 その後再婚、子供もでき、これからという矢先に関東大震災、そして戦争と時代は動いていくんですね。
今作は、やはり彼の人生とこの時代ですね。 特に晩年、糖尿病から視力を失っていきますが、その晩年に多くの山田とのコンビで動揺を残してくれています。 初めてのラジオ放送で、二人の曲を歌うとき、緊張と恥ずかしさで泥酔してしまうところは彼らしいのかもしれませんね。
あの姉妹も登場、動揺っていいなあと思える作品でした。