金も仕事もなく、不細工で無愛想、怠け者の狸穴勇介(大森南朋)は、生きる事に飽きてしまっていた。 そんな彼が最後に向かったのは、両親が自分を捨てた生まれ故郷だった。 しかし、そこで勇介を知るものはなく、目つきの悪い勇介を人は怪訝そうな表情で見るばかり。 しかし金は少し持っていた彼は、アパートを格安で借りた。
働くでもなく、飯はいつもホカ弁屋ののり弁、そんなある日、勇介は、顔に痣のある女・岡辺京子(三輪ひとみ)と出会う。 彼女はホカ弁屋で働いていたが、海に一人でいた勇介を見つけ声をかけてくる。 京子はその痣がコンプレックスで恋愛を諦めていたが、勇介が自分なんか死んでしまった方がいいと言ったのに対し、彼女なりの慰めをしてくれる。
しかし下衆な男の勇介は 「だったら慰めてくれ」 と突然襲い掛かってくる。 しかしたまたま通りかかった京子の叔母(美保純)によって未遂に終わるが、京子は彼にうんざりしている。
何を思ったか、弁当屋に行き京子に土下座をして謝り、非礼をわびる勇介。 しかし彼女も愛人の男が入り浸る母・良枝にうんざりしていた。 そして彼女は家も、そして叔母のところも、男の匂いがすることから居場所がなくなり、彼のところに行き、そしてとうとう強姦されてしまう。
そんな時、京子の母と愛人が車で事故に遭い亡くなってしまう。 そして彼女は勇介となし崩しに同棲してしまうのだった。 京子は勇介に嫌悪感を持ちながらも、自分を女として接する勇介と関係を続けていき、彼の就職の世話までしてくれる。
やがて二人は 望まれぬ子供を授かるが、勇介は “家族” として人並みの “幸せ” を感じていくのだったが…
主演は大森南朋、彼はこういう下衆な役もしっかりできますね。 近作は 「ミュージアム」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14554543.html で主人公の父役でちょっと出演していました。 まあ出演多数ですが主演作となると、「犬とあなたの物語 いぬのえいが」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12895231.html の一つのエピソードなんかはいかがでしょう?
今作はジョージ秋山という漫画家の、どろどろとした人間模様のお話でしたね。 エロい漫画家で、それも少年誌でそれを描くという事で、特徴がありましたが、ちょっと怖いタッチの作品もありました。
その後休養期間を経てだんだんと青年誌に移り、「浮浪雲」 が渡哲也主演でドラマにもなった大ヒットを記録し、そこからのイメージが強い漫画家でしょうね。
物語はいったん人生を捨てた男が、京子という女性に会って人生が変わっていく物語、しかし自分の子供が育ってきて、自分が、妻が、子供にどう映っているのかに気が付いてくるというお話ですね。
これはラスト間際の息子のセリフが強烈ですね。 ここまで子供に言わせるか? というちょっとありえない言葉でしたが、この時、母・京子の歯車も狂ってしまっていたのが何とも物悲しいですね。
プツンという感じで映画は終わりますが、その後あの親子はどうなっていくのか?よほどの切り替えをしない限り、光は見えそうもないように感じましたが。