江戸末期。 貧窮して藩から離れ、浪人となる者も多く、都築杢之進（池松壮亮）もまたそんな一人だった。 藩から離れた杢之進は江戸近郊の農村で農家の手伝いながら、隣りの農家の息子・市助（前田隆成）に木刀で剣の稽古をつけ、自分の腕も鈍らないよう汗を流す日々を送っている。
市助の姉・ゆう（蒼井優）は、剣の稽古に明け暮れる二人を冷めた目で見つつ、杢之進と互いへの思いを募らせていた。 開国の是非に大揺れの時世であり、ゆうは杢之進がきな臭くなってきた中央に出て参戦する時が近づいていることを案じる。
ある日、三人は神社の境内で果し合いを目にし、一見やわらかな物腰の浪人・澤村次郎左衛門（塚本晋也）の腕に触発された杢之進と市助は一層剣の稽古に励んだ。
そんな二人の稽古を見た澤村は、杢之進の腕に尋常でないものを見てとり、二人に澤村の組織として京都の動乱に参戦しないかと誘いをかける。 ゆうの思いを顧みず、二人は澤村の誘いに乗ることに。
刀というものの冷厳さを感じつつ、その威力の真の意味を考える杢之進。 農民でありながら戦に参加できると血をたぎらせていく市助。 市助を心配し近づく杢之進との別れに切なさを募らせる一方で、強者への憧憬を抱き始めるゆう。
そんな中、市助が村に流れ着いた源田瀬左衛門（中村達也）を頭とした無頼の浪人集団と衝突し、事態は思わぬほうに傾いていく・・・
前作の 「野火」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13901736.html から3年、塚本監督の最新作です。
そして蒼井優、「妻よ薔薇のように 家族はつらいよ III」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15536487.html が近作ですね。
物語は幕末、世の中は、維新軍と幕府軍との戦いがまさに火蓋が切って落とされるときのようです。 杢之進は浪人となり、来るべきと気のことを考え、農家の息子の市助と剣に励んでいます。
市助はなかなか筋が良く、もちろん杢之進には叶いませんが、しっかりと打ち合いが出来ます。 しかし姉のゆうは危険な事に対して、心配が募ります。 食べる為ならここにいれば良い、そう呟くんですが。
そしてこの地にやってきた剣術の達人澤村と出会って、二人の運命は変わります。一緒に京に登って、幕府に使えよう、そう言って二人の心は躍ります。
もう少し組の人数を増やしたい、そういって、いざ出立の時、杢之進が高熱を出してしまいます。そしてこの遅れが3人の運命を変えてしまうんですね。
初の時代劇に挑戦した塚本監督、なかなか監督の色も出た時代劇です。 話し言葉はあまり時代を意識した感じでなく自然です。 しかし殺陣はなかなかよく出来ていました。
後半に行くに従って壮絶になっていくこの作品、監督ならではの迫力がありました。
維新前夜の時代
ゆうは彼と弟をあんじる
