anttiorbの映画、映像の世界

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物置のピアノ

2014年作品、似内千晶監督、芳根京子 佐々木優和 小篠恵奈 佐々木祐芽出演。

福島県桑折町の桃農家の次女・高校二年生の宮本春香(芳根京子)は、卒業後の進路に悩んでいた。 幼いころからピアノを習い、将来はピアニストを目指していたが家庭状況から “その夢” を家族に打ち明けられずにいた。
そんな中、大学生の姉・秋葉(小篠恵奈)が東京から戻ってくる。 姉の秋葉は美人で優秀で、子供のころからピアノコンクールの覇者で、宮本家の期待の星だった。 宮本家では中学生の秋葉のためにピアノを買い、座敷に飾り彼女の将来のピアニストを夢見ていた。 しかし、秋葉が中三の時だった。 妹の春香がコンクールで優勝し、プライドを傷つけられた姉の秋葉は突然ピアノをやめてしまう。 両親は驚き落胆したが、やがて諦めて座敷のピアノを物置に移してしまう。 期待された姉と期待されない妹の春香。 春香は物置でピアノを練習するしかなかった・・・

ちょっと対象的な姉妹のお話です。
監督は似内千晶、監督作品はこの1作だけのようですね。
主演は芳根京子、朝ドラの主演女優でしたが、今作が映画デビュー作で主演でした。 近作映画出演は 「散り椿」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15708055.html 「累-かさね-」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15679246.html でしたね。

物語は、物置でピアノを練習する女子高校生のお話。 高校2年生で、進路の時期になり、彼女は自分の進路を回りに言えないんですね。 親友は、音楽大学に行くのだと思っていますが、それを彼女は言う事ができない。 それは姉の事が心に引っかかっているから。
姉は自分と一緒に練習をしていましたが、妹に負けて、それ以来ピアノと絶縁してしまいました。 明るく華があった姉、しかしピアノは妹がコンクールで優勝したんですね。
彼女は吹奏楽部でピアノ担当、実は吹奏楽部で、ある大会に出ることが目標なんですね。 そこに大震災で被災し、この地に来た男子が入ってきます。 彼も楽器をやっていて、彼女が誘ったんですね。
そして宮本家はもう一人末っ子の弟がいたんですね。 しかし彼は、幼いころに溺れて亡くなってしまいました。 そこから姉妹は責任を感じ、祖父も相当なショックを受けてしまいます。
今作は、大震災のその後の東北、福島県が色濃く描かれています。 桃農家の宮本家、放射線の事で、脳作物がなかなか売れない、嫌われてしまう。 もちろん住んでいる人にとっては簡単に他の仕事をするわけにもいかず、そろそろ線量も落ちてきてちゃんとした現地産の桃が食べられる状態なんですが、根強い恐怖感はまだまだ根深いんですね。
特に子供には絶対食べさせたくない親の姿は、否定は出来ない、無性に悲しいシーンです。 今作から4年がたっていて、さすがにそろそろそういう感情は薄れているんでしょうか? 仕事柄、福島県に行く機会が多い私ですが、こちらも触れないし、お客さんからそういう話はほとんど出ません。
風化させたいけないことと、先に進んでいっていること、それをしっかり分けて考えなくては、そう思った作品でした。

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物置でピアノの練習をする春香

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そんな時姉の秋葉が帰ってくる

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彼女は進路に悩んでいた

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姉は一緒にピアノをやっていた

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そんな姿を見られたくない春香だった

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