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暗黒街のふたり

1973年作品、ジョゼ・ジョヴァンニ監督、アラン・ドロンジャン・ギャバンミシェル・ブーケ、ミムジー・ファーマー、イラリア・オッキーニ出演。

ジーノ(アラン・ドロン)は三十歳。 十年前に銀行強盗の首領として逮捕され、十二年の刑を受けたが、保護司のジェルマン・カズヌーブ(ジャン・ギャバン)の力添えによって出所することが出来た。 彼には美しい妻ソフィー(イライア・オッキーニ)が待っていた。
ジーノの新しい生活が始まった。 妻は小さな花屋を経営しており、それは質素だが、明るい、楽しい日々だった。
ある日、ジーノの出所を知った昔の仲間がやってきた。 再び手を組んで大仕事をしようという。 ジーノはきっぱりと断わった。 犯罪歴を持つ者はパリを始め、大都会、港町に住むことを許されない、いわゆる “所払い” というやつだ。 ジーノと妻はやがてモー市に移住した。
一方、ジェルマンもモンペリエに移住した。 軽犯罪係への転勤ということだが、ていのいい左遷であった。 それでも、ジーノとジェルマンの家族は、週末にはピクニックに出かけた。
突然、悲劇がジーノを襲った。 楽しいピクニックの帰路、暴走してくる二台の車を避けようとしたジーノのスポーツカーは横転して、大破したのだ。 この事故で最愛の妻ソフィーが死んだ。 自暴自棄の日々が続いた。
月日が流れ、ようやく傷が癒えると、ジェルマンのすすめでモンペリエに移り、刑務所で身につけた印刷技術に助けられ、印刷工場で働くことになった。 そして、新しい恋人ルシー(ミムジー・ファーマー)がジーノの前に現われた。 同時に、ジーノの運命を変えるもう一人の人間が出現した。 この地に赴任してきたゴワトロー警部(ミシャル・ブーケ)だった。
もう忘れかけていた十年前、銀行に押し入ったジーノを捕えたのがゴワトローだった。 以後、ゴワトローの執拗な監視の眼が、ジーノを追い廻し始めた。
ある日、ジェルマンのところへ、ルシーがとび込んできた。 「ジーノが警察に留置されている」。 容疑は何もなかったが、ゴワトローは異常な程ジーノを憎んでいた。 偶然、ガソリン・スタンドで昔の仲間と会ったことが、ゴワトローの気に入らなかったのだ。 しかし、ジーノは二度と昔の仲間と仕事する気はない。 ゴワトローは彼を信ぜず、二度と奴らに会わない宣誓書を書けという。
無茶苦茶な要求だったが前科者は常に弱い。 釈放されてからも、ゴワトローの追求は続いた。 そんなとき、昔の仲間が銀行を襲った。 もちろんジーノとは無関係だったが、ゴワトローはジーノが首領だと思いこんでいる・・・

これは大変悲しい話ですね。
監督はジョゼ・ジョヴァンニ、記事にするのは初めてで、監督作品を見るのも初めてです。
そして憎いゴワトロー役はミシャル・ブーケ、今作では本当にむかつく奴でした。 記事にした出演作はないようです。

物語は、保護司のジェルマンのシーンから始まります。 彼は基本性善説を持っているらしく、しっかりとお勤めをした人間に、人生のやり直しを進め世話をしているようです。 その中の一人がジーノでした。 妻と再会して、全うな人生をやり直そうとしたその時、事故で妻を亡くしてしまいます。 大きな悲しみに落とされたジーノでしたが、何とか立ち直り、新しい恋人と今度こそ、そう決心しますが。 印刷会社の社長は本当に彼を信頼し、優遇してくれます。
しかし昔の仲間が近づいてきたり、そして蛇のような陰湿な、ゴワトローが現われ、彼の人生は急転してしまうんですね。

この作品は、ジャン・ギャバン演じるジェルマンと、正反対のミシャル・ブーケ演じるゴワトローの対比が上手く描かれています。 性善説と、性悪説、一回悪事に染まった人間はどうせまた悪い事をするのが当たり前。 しかしその中でも、回りの目だったり、決め付けて起こる再犯もあるのではないでしょうか? もちろん根っからの悪人もいるでしょうが、少なくともジーノはすっぱり足を洗っていたのに。
無償なやりきれなさを感じる、これもこの時代ならではかもしれませんね。


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保護司のジェルマン

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ジーノの再出発

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妻を亡くすが立ち直るジー

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しかしゴワトロー警部が現れ

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とうとう恋人にまで脅しに来る

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