ジョン・レノン暗殺のTVニュースを見ながら、三津木五郎(古尾谷雅人)は一九六七年の恐ろしい事件を思い出していた。 当時、大学を出たばかりの五郎はヒッピー姿で放浪中、瀬戸内海の刑部島で、金田一耕助(鹿賀丈史)と出会った。
その頃は、ビートルズの “ゲット・バック” が流行っていて、五郎のトランジスタ・ラジオからもよく流れていた。 金田一はその島出身で、アメリカ帰りの億万長者、越智竜平(伊丹十三)の依頼で人を探しに来ていたのだ。
島とフェリーで結ぶ岡山県下津井港で、海に漂う仮死状態の男が上がり、「あの島には悪霊がとりついている、鵺の鳴く夜は気をつけろ……」 と言葉を残して息を引取った。
そこで、金田一は別の事件で来ていた磯川警部(室田日出男)と出会い、死体の男が金田一の探している男と同一人物であることを聞く。 磯川は浅井はる(原泉)という市子でもぐりの産婆の殺人事件で来ていた。 事件の前に、磯川は、はるから手紙を受け取り、二十年以上も昔、赤ん坊を取り上げたことで恐喝をしていたが、それが原因で誰かに狙われていると書いていた。
はる殺しの目撃者はうす汚い風体の男を見たと言う。 島へ渡った金田一は、島の実力者、刑部大膳(佐分利信)の経営する宿に泊った。 大膳は、かつて相思相愛の仲だった刑部神社の娘、巴(岩下志麻)と竜平(中尾彬)の仲を裂いて、守衛と結婚させたことがある。 巴にはふぶき(岩下志麻)という双生児の姉がいるが、脳を患って離れに住んでいる。 さらに巴には双生児の真帆、片帆(岸本加世子)という娘がいる。
金田一が探していた男は、島にレジャーランド建設を目指す竜平の派遣した尖兵だった。 祭りを控え賑わう島へ、その竜平が凱旋帰郷した。 数日後の夜、巴の婿である守衛が竜平が寄進した黄金の矢で胸を刺されて死んでいるのが発見された。
さらに、行方不明だった片帆も絞殺死体で見つかった。 その頃、はる殺しの目撃者の見た男が五郎と判明した。 五郎によると、死んだ母に自分は貰われた子であり、はるによって取り上げられたことを聞いたのだった・・・
監督篠田正浩、「少年時代」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/7466257.html を見ています。
物語は、刑武島で起こる連続殺人事件でした。 二つの双子が絡む忌まわしい事件が起こってしまいます。 金田一探偵は、やはりいつものように呼ばれてしまい、殺人事件に取り込まれていきます。
そして磯川警部、もうふたりの信頼関係は強固ですが、それでも呪われた因縁の前では、殺人事件を止めることはできないんですね。
一時の横溝=角川ブームは下火になっているこの作品ですが、やはり私は横溝作品は好きでした。