anttiorbの映画、映像の世界

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モリのいる場所

2018年作品、沖田修一監督、山﨑努 樹木希林 加瀬亮 吉村界人出演。

モリこと画家の熊谷守一(山﨑努)は、名声も金銭も求めずに、午前中は東京都豊島区にある自宅の庭で生き物を観察している。 庭には草木が生い茂り、彼の描く絵のモデルになるたくさんの虫や猫などが住み着いていた。 午後に眠り、夜中になるとアトリエで絵を描く生活を続けている。
姿が見えなくなると、庭の一角に掘られた大きな穴に入り、そこが池になっていて、めだかが住み着いている。 彼の家の表札は、すぐに盗まれてしまう。 彼の直筆だということで、高値がつくらしい。 いつもそれを郵便配達員が教えてくれる。
昭和49年の夏、94歳になったモリは、妻の秀子(樹木希林)と姪の美恵(池谷のぶえ)に支えられ、相変わらずの生活を送っていた。 この日は、モリに看板を描いてほしいという温泉旅館の主人(光石研)がやってくる。
前もって連絡してあったようだが、モリはあまり気乗りがしない。 でも秀子が信州からきたことを聞き、モリに伝えると、我然やる気になる。 遠くからきたということを思いやったのだったが、新幹線の概念もないモリだからこそだった 。 しかし、書いた言葉は、旅館の名前ではなく、ただモリの好きな言葉だった。
また、モリを追いかけているカメラマン(加瀬亮)とその助手(吉村界人)は、彼に密着をしに毎日やってくる。 助手の青年は、虫が嫌いで、虫除けスプレーをすると、秀子に嫌がられる。 モリはそういうのが嫌いだからだった。
そして、隣に建設中のマンションオーナー(吹越満)と現場監督(青木崇高)がやってくる。 モリのファンや、教え子たちが、マンション建設反対の大きな立て札を近くに出しまくっているからだった。 このままだと訴えるというオーナー、しかし現場監督はモリにある依頼をするのだった・・・

沖田監督にはずれはない。 この作品もそうでした。
監督は沖田修一、「モヒ カン故郷に帰る」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14122870.html 「滝を見に行く」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12947380.html 監督らしい独特の風合いと、奇抜なラスト、色がしっかり出る監督です。
主演は山崎努、近作は 「無限の住人」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14892426.html 以来の出演作です。 94歳の熊谷守一を81歳の彼が演じる、まあそれだけで見ておくべきでしょうか。
そして秀子役に樹木希林、出演作としては 「海よりもまだ深く」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14165839.html 以来となりますが、カンヌで大きな賞を取った作品にも出演しています。

物語は、97歳まで生きた画家、熊谷守一94歳の頃を描いた作品ですね。 実は私の取引先の会社が近くにあり、その会社に行く途中に熊谷守一美術館があるんですね。 看板しか見たことがなく、いつか寄って見ようと思っていた矢先の映画公開でした。
妻の秀子、姪の美恵との3人暮らし、しかし彼の1日は規則正しいというか、彼のペースをしっかり保っているようですね。 外に出ることはなく、拾い庭で、毎日探検しているような生活、虫とめだか、猫、鳥、そんな自然豊かな生活が、彼のペースなんですね。 しかしそんな時に、近くにマンショ ン建設の話が持ち上がりました。 ここにマンションが建つと、日当たりが悪くなり、庭の生き物に影響が出てしまう。 二人は結構心を痛めていることがわかります。
まだ携帯も、パソコンもない時代。 国から叙勲の打診が来ても、お客が増えるからいらない、そういいきるところは実にこっけいで、彼らしいところなんでしょうね。
笑いあり、そしてちょっと不思議なシーンあり、楽しく興味深い作品です。

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モリと秀子

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そして姪の美恵

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日々庭で観察をいているモリ

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看板を書いてほしいとやってくる旅館の主

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そして勲章を断るモリ

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そしてマンション建設のオーナーと、監督がやってくる

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