anttiorbの映画、映像の世界

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廃市

1983年作品、大林宣彦監督、小林聡美山下規介根岸季衣峰岸徹出演。

江口(山下規介)は大学生の頃、卒論を書くために、一夏をある古びた運河の町で過ごした。 そして、月日が流れ、その町が火事で焼けたことを知った彼は回想をはじめる。
江口が親戚から紹介された宿泊先、貝原家を訪れると出迎えたのはまだ少女の面影を残す娘・安子(小林聡美)だった。 その夜、寝つかれぬまま彼は、波の音、櫓の音、そして女のすすり泣きを耳にする。
次の日、江口は安子の祖母・志乃(入江たか子)に紹介されるが、一緒に暮らしているはずの安子の姉・郁代(根岸季衣)は姿を見せない。 そこには今は亡き安子の母の写真があり、姉は母とそっくりだという安子だった。
ある日、貝原家から農業学校に通っている青年・三郎(尾美としのり)の漕ぐ舟で江口は安子と出かけた。 町がすっかり気に入ったという彼に、「この町はもう死んでいるのよ」 といつも快活な安子が、暗い微笑を浮かべるのだった。 その帰り、江口は郁代の夫・直之(峰岸徹)を紹介された。
安子の母の十三回忌が行なわれた。 江口はその席で、直之からもこの町が死んでいるという言葉を聞く。
その夜、彼は直之と安子がひっそりと話しているのを見た。 あまりいい雰囲気ではないのが感じ取られるのだった。
次の日、母親の墓参りに出かけるという安子に付き合った江口は、その寺で郁代に出会う。 安子の話だと、郁代が寺に移ってから直之も他に家を持ち、秀(入江若葉)という女と暮らしているとのことだった。 何故、郁代が家を出たのかは安子は話したがらない。
水神様のお祭りの日、江口は直之からその理由を知った。 郁代は直之が他の女を愛していると思って、自分から逃げて行ってしまった。 直之は郁代を今でも愛しているというのだった…

尾道三部作の間に作られた、これも地方を舞台にした作品ですね。 もちろん架空の舞台の町ですが、ロケは福岡県柳川市で2週間で取り上げた過酷なスケジュールだったという事ですね。 原作は福永武彦、この映画ができた時にはもうお亡くなりになっています。
主演は小林聡美、近年の出演作は 「海よりもまだ深く」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14165839.html 「紙の月」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12394196.html も存在感抜群でした。
相手役は山下規介、映画出演は最近はありませんが、内田けんじ作品の 「運命じゃない人」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/9950390.html でキーマンを演じていました。
そして転校生で共演した尾美としのりも出ています。 二人は監督のお気に入りだったんでしょうね。
物語はなにか寂しげな展開で進んでいきます。 今はもうないこの町という事で、もし町や村に寿命があるとしたら、そこで生活している人も、死期を悟ってしまうのかな? と思うような気分になりますね。
生まれ育った土地と共に最後まで生きていくのか? それともそこを出て、都会や、別の地で生活をしていくのか? 主人公はあるひと夏の体験ですが、その滅んでしまうような街を垣間見たのかもしれませんね。

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安子は山下を案内してくれる

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ひと夏の休み

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しかしここには寂しさが漂っている

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姉の郁代

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水神様のお祭り

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