anttiorbの映画、映像の世界

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天使にショパンの歌声を

2015年作品、レア・プール監督、セリーヌ・ボニエ主演。

カナダのケベックの小さな寄宿学校。 修道院が経営するこの学校では、今日も少女たちの澄んだ歌声が響き渡っている。 校長のオーギュスティーヌ(セリーヌ・ボニアー)が音楽教育に力を入れているためで、前回のピアノコンクールでは念願の銀メダルを獲得していた。
だが、そんな名門校が今、存続の危機に瀕している。 近代化を進める政府の後押しを得て公立学校が増加し、転校する生徒が相次いだために経営が苦しくなってしまったのだ。 体制を見直し始めた修道院の総長は、採算の合わない学校から閉鎖しようと考えていた。 音楽会のチケット代にピアノ購入費と出費のかさむオーギュスティーヌの学校が、真っ先にそのやり玉にあげられているのだ。
そんななか、オーギュスティーヌの姪のアリス(ライサンダー・メナード)が、姉に連れられて転校してくる。 オーギュスティーヌはアリスに天性のピアニストの才能を見出して期待するが、両親に見放されたと思い込んでいるアリスは、傷ついた心を固く閉ざしていた。
総長から音楽をやめて代わりに良妻賢母になるための教育の実施を強いられたオーギュスティーヌは、「高い理想を持てと生徒たちに言っています」 と毅然と拒絶し、帰校するとシスターたちに 「あきらめないわ、闘うのよ」 と宣言する。
いつもは貞淑なシスターたちも、自分たちの愛する場所を守らなければという熱い想いに燃えていた。  支援してくれるトンプソン夫人(マリー=フランス・ランベール)の協力を取り付け、まずはマスコミ作戦を計画するシスターたち。 学校で音楽イベントを開いて記者たちを招待し、最高の演奏を聞かせることで音楽教育の素晴らしさを訴え、世論を動かすのだ。
ところが大切なイベントの前夜、クラスメイトをかばって学校で一番頑固なシスター・リーズ(ディアヌ・ラヴァレ)とぶつかったアリスは、怒りのあまり無断外出をしてしまう。 恋におちた男の子と踊っているところを、オーギュスティーヌに無理矢理連れ戻されるのだった。
翌朝、アリスはイベントへの出演を拒否するが、オーギュスティーヌの真意を知って、少しずつ心を開き始める。 アリスの素晴らしい演奏も効果を奏して、イベントは大成功をおさめ、翌朝の新聞にも大きく取り上げられるのだったが…

監督はレア・プール、カナダの女性監督ですね。 前作はけっこう話題となったそうですが私は未見です。 テーマ的には過去作も面白そうな監督のようです。
主演はセリーヌ・ボニエ、私は主演作を初めて見る女優さんですね。 ちらっとピアノを弾いているシーンがありますが、多少は経験がおありなんでしょうかね? 
そして彼女の姪役で、コンクールに望む修道院性・アリスにライサンダー・メナード、リザンドル・メナールという表記も多いですが、彼女はこの作品でアリスを演じるためにピアノの特訓を受けたそうです。 それは確かに転校してきたとき、親友の歌の伴奏を弾くとき、そしてラストのコンクールの時に際立っていますね。
でもいくつか彼女が感情をむき出して弾くシーンがあり、ピアノを弾くことが彼女の今作品での演技の大きな部分を占めている感じがしました。
物語は、現代における修道院の寄宿学校の在り方を、現実的に描いた作品ですね。 校長のオーギュスティーヌは、敬虔さの中に、時代に会った気風を取り入れ、あまり生徒たちを縛らない方針を取っています。 そして修道院としての個性を音楽で出すために、まずは実績として、コンクールで銀メダルを取る生徒を誕生させました。
これは支援者を獲得する意味でも重要で、この寄宿学校で音楽をやらせたいという女生徒が集まり、レベルの高い音楽教育が実践されています。 もちろん規律はしっかり守った上ですが、他校とは違い、自由な風が吹いていることがうかがえます。
しかし、修道院を束ねる総長はそんな独自のやり方を押し通す彼女が腹立たしくて仕方がないんですね。 予算が削られていき、もしかしたら閉校されるかもしれない時に、オーギュスティーヌは起死回生の策を取るんですね。
作品としての作りは少々荒っぽい感じはしますが、ピアノ演奏、合唱のレベルは高く、演奏シーンは見応えがあります。 やはりラストのアリスの弾く曲は胸を打つものもあります。
音楽作品として、良い音色が聞けると思いますよ。

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美しい歌声の響く寄宿学校

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しかしこの学校が危機にさらされていた

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シスターたちも現実を知る

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そこに姪のアリスが転向してくる

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そして起死回生の策を彼女はとるが

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