2016年作品、ニコレッテ・クレビッツ監督、リリト・シュタンゲンベルク主演。
職場と自宅の往復を繰り返すだけの無機質な日々を送るアニア（リリト・シュタンゲンベルク）は、妹のジェニー（サスキア・ローゼンタール）と暮していたが、祖父が入院してしまう。
高齢なんで、もうあまり長くはないという感じで、祖父が自分の部屋に帰ってくることは無いだろうと姉妹は思っていた。 彼女は、恋人もいなく、事務員としては上司のボリス（ゲオルク・フリードリヒ）にはいいようにこき使われていた。
そんなある日、アニアは自宅のマンション前に広がる森で、一匹のオオカミを見かける。 オオカミは彼女をじっと見つめ、森の中に姿を消した。
ジェニーは恋人と同棲を始めると言って家を出て行ってしまう。 しかしアニアはオオカミの姿が心に焼き付いて離れないのだった。
冴えない日々を過ごしていたアニアは、初めて触れる “野性” に心かき乱し、激しく惹かれていく。 次第にオオカミに執着するようになった彼女は、まず大きな生肉を買って枝にさしておく。
しかし全くオオカミは興味を示さず肉は干からびていた。 今度は、うさぎを２羽買ってそこに放しておいた。 そうすると白い方のうさぎが食われていた。
捕まえられる可能性が出て来たと思った彼女は、狼の習性を勉強し、用心深いという事を逆手にとって、何らかの壁を作れば行動エリアを狭くできて、また近づいて来るのではと考える。 そしてボリスと一緒に、売れなくなった会社のダメになった商品の洋服チェックしに行ったとき、これは使えると彼女は思った。そしてそれを、上手くボリスの車を使って手に入れ、さらにはアジア人のパートを囲い、簡易的なカーテンを作り、森に掲げるのだった。
カーテンのそばには近寄れなくなったオオカミは、彼女の前に姿を現す。そして睡眠薬入りの吹き矢で狼を眠らせ、なんと自宅に運び込むのだった…
何とも刺激的な予告編を見て、気になって鑑賞をしてきました。 監督はニコレッテ・クレビッツ、女優としての出演歴はありますが、監督作品は、特に日本公開は初めてのようですね。
物語はまず前段は、狼を捕獲するまでですね。 こんな人間の住んでいる近くに狼が現れるということ自体、純血種がいなくなった日本では考えられませんが、海外ではある事なんでしょうかね。 しかしすっかり狼に魅入られてしまったアニアは、知恵を絞り、会社を休んだり、遅刻をしてでも計画を実行し成功します。
そして後半は、そんな狼との生活になっていくんですね。 野性の狼との生活、もちろんそう簡単にはいきませんし、一歩間違えば殺されてしまいます。 初めて室内で向き合った時、命の危険を感じた彼女はダストシュートから脱出するんですが、そこが何ともリアルでした。
全く先が読めない作品、しかし確実にわかるのは、もう彼女は元に戻れないだろうなあというところでした。 行きつくところにまで行ってしまったアニア、最後の彼女の表情が彼女の心を現しているんでしょうねえ。
ただの普通のOLだったアニア
