2011年作品、キケ・マイーリュ監督、ダニエル・ブリュール主演。
西暦2041年。 アレックス(ダニエル・ブリュール)は、自立型ネコ型ロボットを連れて、車を走らせていて。 彼が向かった先は、サンタイレーネのロボット研究所。 そこに入って行くと、皆猫のロボットを珍しがった。 彼を迎えたのは、フリア(アンヌ・カノヴァス)という女性科学者だった。彼女の実験に多くの学生が参加していた。 その中で、馬の小型ロボットを動かしている学生は、彼の登場に緊張をしてしまい、そのロボットを停止させてしまう。
リセットすればまた動くと言うその学生にアレックスは、もうそれでは以前のこの馬とは別の感情になってしまい、以前の感情は失われてしまうと諭すのだった。
彼女がここにアレックスを呼んだのは、子ども型アンドロイドの開発のためだった。 もうほとんど完成しているのだが、そのロボットのモデルとなる人間をこれから決めるという時だったのだ。 興味を持ったアレックスだが、研究所に住むのではなく、家から通わせてほしいと言う条件を出し、それは認められた。
ここの実家にはしばらく帰っていなかったので、家の中は荒れていた。 そこに研究所から、マックス(リュイス・ウマー)という人型ロボットが、彼の身の回りの世話をさせるために派遣されてきた。 きっちりとした性格づけられていて、早速自立型の猫型が気に入らないようだった。
次の日、彼は研究所に行き、候補の子供たちの映像を見るが、どれも魅力的なモデルはいなかった。 そして家に帰る途中公園に寄った時、ある少女を見つけた。 エヴァ(クラウディア・ヴェガ)と名乗る女の子に、この少女だと確信したアレックスだったが…
スペイン発のSF作品、近未来の世界で、ロボット技術が大きく進んだ世の中を描いています。
主人公のアレックスは、地元を10年間離れていて、オーストラリアにいたことになっています。 しかしどうして彼が戻ったのか? それは新しく子供用の精巧なロボットを作りたいフリアが呼んだからでした。
でも彼女が作りたかったのは、男児のロボット。 モデルの対象者に該当者がいないことから、アレックスはたまたま見かけた少女エヴァにどんどん惹かれ、そして女児ロボットの提案をするんですが、フリアは決して認めません。
先日観た、「黄金のアデーレ 名画の帰還」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13692330.html に出ているダニエル・ブリュール主演ですが、若き科学者の苦悩を上手く演じています。
この作品は前半の未来色いっぱいの展開から、中盤からはシリアスな人間ドラマになっていくんですね。 そしてここの過去がどんどん明かされていき、その葛藤、そしてエヴァの存在の理由も明らかになっていくにつれ、物悲しい結末に繋がっていきます。
どんなに科学技術が進んでも、人間の尊厳は残るという視点をさらに一歩進めた、ロボットにも思いやり、悲しみが普通に存在しても当たり前の世界を描き出していて、同じ悲しみを共有できるほどまで進んでいる未来でした。
悲しい作品ですが、面白かったですね。