サヨコ(市川実日子)は、都会の一隅にある平屋の日本家屋でたくさんの猫と暮らしている。 亡き祖母もそうだったが、彼女の周りには猫が寄りついてくる。 今日も白くちょっと肥えた猫がやってきた。 もちろん彼女はその猫にエサを与える。 理由はわからないが、彼女の特技?かもしれない。
祖母の仏壇を荒らしている猫がいた。 それを教えてくれたのが “うたまる師匠” と呼んでいる、いつもお決まりの籠にいる大きな三毛だった。
リヤカーに何匹かの猫を乗せ、「レンターネコ、猫、ねこ」 と言いながら、彼女は猫のレンタルをしている。 「猫婆が来た」 そういって気持ち悪がられても、彼女はめげない。 そしてそうしているうちに、猫を借りたがるお客が現れる。
心の寂しい人に猫を貸し出すレンタネコ屋、上品な老婦人・吉岡さん(草村礼子)に声をかけられる。 吉岡さんは14歳の茶トラ猫に興味を示し、サヨコは猫が住みやすい家か審査するため、彼女の暮らすマンションに向かう。
彼女は、夫と飼い猫を亡くしてひとり住まい。 子どもはとうに巣立ってしまったという。 息子が小さい頃好きだったというゼリーを食べながら、身の上話をする吉岡さん。 サヨコは、そんな彼女の姿を見て審査を合格とする。 吉岡さんは借用書の期限の欄に “私が他界するまで” と書き記す。
そして、彼女に電話が入る。 猫を引き取ってほしいと言う電話だった。 吉岡さんの息子からだった。 吉岡さんが亡くなったということらしい。 息子はけげんな顔で早く引き取ってほしいというが、サヨコは猫を見るとすぐに分かった。 吉岡さんは貸した猫を本当に可愛がってくれたことを。
吉岡さんは最後の時を寂しくならずに逝けたことを。
彼女の目標、それは今年こそ結婚することだった…
これは見たかったんですよね。 荻上監督と言えば 「かもめ食堂」 「めがね」 「トイレット」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/9432082.html とすべて見ていますが、これも楽しみでした。
動物をほのぼのと描いた作品は好きなんですよね。
ペットを飼うことは、本当に癒されます。 うちにもコザクラインコが3羽いますが、お世話も大変ですが、肩に止まってきたり、膝にのったりしてきたときは何とも愛おしいです。
ここで出てくる猫は、どれも従順で、この冒頭でしかいたずらはしません。 そしてレンタルされていく猫たちも本当におとなしく、可愛いんですよね。
でも癒しだけでなく、彼女はしっかり審査をするんですよね。 これはペットを買う側の心構えをしっかり一言、言ってくれます。
本来なら自然な環境で生きて行った方がいいのは言うまでもありませんが、でも縁あって一緒に暮らすことになったペットたち、ならば家族として苛めたり、途中で放棄したりしてほしくない。
この後どうしても譲ってほしいというお客が現れますが、彼女の言うセリフは、「しっかり看取って欲しい」 でした。
大概のペットは、人間より先に亡くなります。 悲しいことですがそれが現実であり、それを見届けられないなら飼う資格はないんですね。
映画の中でしっかり触れているのは大変すばらしいことでした。 ほのぼのとする中にしっかり言うべき事を言ったこの作品、なかなかの良作でした。
「レンタネコ、ねこ、猫」
吉岡さんに貸すネコ
吉田さんにも貸す
吉川さんにも
同級生だった吉沢には
隣りのオカマのおじさん