anttiorbの映画、映像の世界

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ストックホルムでワルツを

2013年作品、ペール・フライ監督、エッダ・マグナソン主演。

1960年、スウェーデンの首都ストックホルムから300km離れた小さな田舎町・ハーグフォッシュに両親と5歳の娘と暮らしているシングルマザーのモニカ(エッダ・マグナソン)は、電話交換手の仕事をしながら、時折深夜バスでストックホルムまで出向き、ジャズクラブで歌手としてステージに立つという日々を送っていた。
いつか歌手として成功し、この町を出て娘と二人で何不自由なく暮らせる日が来ることを夢見ているモニカに、厳格な父・ベント(シェル・ベリィリィクヴィスト)は“母親失格”のレッテルを貼り、歌の仕事にも反対していた。
そんなある日、モニカの歌を聞いた評論家に誘われる。でもそれはクリスマスの日だった。 昨年も一昨年も一人娘のエヴァ=レナ(ナディア・クリスティアンソン)と一緒にクリスマスを過ごせないでいた彼女は一瞬迷うが、ニューヨークで歌うチャンスを与えられたモニカは行く決心をして、意気揚々とジャズの聖地に乗り込む。
バックを務めてくれるジャズミュージシャンたちはみな黒人たち、この異国から来た綺麗な歌手は歌えるのか?そんなことを感じていた彼らは、モニカの歌声を聞いて納得する。
モニカは楽屋で準備をしていると、外で彼らの声がする。「どうしたの?」と声をかけるモニカだが、彼らの楽屋は与えられないのだった。 そんな黒人に対する差別の時代、モニカは一緒に通路で練習をし舞台に上がる。
英語が堪能なモニカは、英語でジャズナンバーを歌い始めるが、客がどんどん帰っていく。 いったいなぜなのか?出来は悪くないはずなのに。
しかし、クラブのオーナーは、黒人のミュージシャンの中で白人が歌うなんて聞いていないといい、彼女はあっさりと首となる。
悶々と酒を飲んでいるとその店に憧れのエラ・フィッツジェラルドが入ってきた。 「私の歌を聴いてほしい」彼女は歌いたいなら歌ってみればと言うがちょっと聞くとこう吐き捨てる。「形だけ真似ても無駄、自分らしい歌を歌いなさい」
意気消沈してハーグフォッシュに戻るモニカ。 ニューヨークでの評判はモニカの住む町まで届き、父はモニカに歌をやめ、母親業に専念するよう言い放つ。 落ち込むモニカはレコードと、レコードプレーヤーを押入れの奥に仕舞い込もうとすると、そこにあるものが仕舞ってあった。
なんとそれは若いころの父の写真と、父が吹いていたサックスだった。
彼女は電話交換手の仕事に戻り、もう巡業には行かないと、友達のマリカ(ヴェラ・ヴィタリ)に言うが、彼女はモニカを強引に誘いに来てしまう。やっぱり歌いたいモニカは、結局父と言い合いになってしまい、「巡業が終わったら、エヴァ=レナを迎えに来る。そしてハーグフォッシュには二度と戻らない」と言い切ってしまう。
そして巡業中、彼女はバンドのベースを務めるストゥーレ(スペリル・グドナソン)と話すうち、彼が詩集を手渡してくれる。 そして母国語であるスウェーデン語でジャズを歌うことを思いつくモニカ。 誰もが予想していなかったこの歌声は、次第にストックホルムの人々の心に響くようになり、モニカは夢のステージへの階段を上がり始める・・・

この作品は、スウェーデンのジャズシンガー・モニカ・ゼタールンドの伝記映画ですね。 正直私は彼女の存在自体知りませんでしたが、ビル・エヴァンスとの共演の曲は聞いたことがありました。「この曲だったのか!」というのが正直な感想です。
記事に書いたこの後の人生が波乱万丈なんですね。
“木のてっぺんからの景色が見たい”父のベントが、彼女を叱るときに、「お前は小さいころから必ず木登りをすると、一番上まで行きたがる、ほかの子が諦めてもお前だけは絶対最後まで登ろうとする、そして落ちて死にそうになったこともある。」
この台詞を吐き捨てるように言って彼女を叱責するんですが、だからこそスウェーデンではトップシンガーになったのであり、何人かのジャズの大御所は彼女を認めたんでしょうね。
男関係も、自分のためになるから付き合う、寂しさを紛らわす、娘のために一緒に住む、という考えの持ち主で、心から愛しているからではないんですね。
主演のエッダ・マグナソンは歌手でもあるそうですが、歌唱力はあり、生前 のモニカ・ゼタールンドに似ている感じがしました。 少し丸い雰囲気を出していましたが、男を咥え込むシーンはなかなか熱演でした。
物語ならあるシーンで儚い人生は終わりという展開でしたが、これは自伝なので、危機一髪で命を取り留め、人生がちょっと変わっていく姿で終了します。
でも彼女の人生はもうひと波乱あったようですね。 スウェーデンというジャズの根付かないところで必死にもがく生き様は十分伝わってきますし、彼女なりにやりきった人生を感じました。(G)

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スウェーデンでそこそこの歌手のモニカ

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しかし本場で散々な評価を受ける

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しかし母国語でジャズを歌うことを思いつく

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成功した彼女は娘のために

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しかし彼女の戦いは続く

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