anttiorbの映画、映像の世界

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私の、息子

2013年作品、カリン・ペーター・ネッツァー監督、ルミニツァ・ゲオルギウ主演。
 
ルーマニアの首都ブカレスト。 セレブリティのコルネリア(ルミニツァ・ゲオルギウ)は、一人息子バルブ(ボグダン・ドゥミトラケ)が30歳を過ぎても自立しないことで悩んでいた。 妹に愚痴を言うが、彼女は 「だから子供はもう一人作るべきだった」 と言い返されてしまう。
社交界の名士が集うコルネリアの誕生パーティにも顔を出さず、会えば悪態をつかれる。 さらには彼の恋人でシングルマザーのカルメン(イリンカ・ゴヤ)にも 「あの女と一緒になってから息子は彼女の言いなり」 とコルネリアは不満を募らせていた。家政婦をバルブの家の世話をさせ、家の中を探らせてみるが、そうした行動も彼の逆鱗に触れてしまう。
友人のオペラ歌手の、レッスン風景を鑑賞している時に、妹が息せき切って入ってきた。 そして彼女に急用を伝える。 それはバルブが事故に遭ったという連絡が入ったというのだ。 コルネリアは真っ先にバルブの身を案じたが、彼は無事だった。 しかし、子供をひき殺してしまったということだった。 すぐに現場に向かった彼女たちは、警察署に急行した。
警察署には被害者の家族がいたが、入るときに数人の男たちが怒鳴りかかってきた。 亡くなった少年の親類らしい。 コルネリアが目にしたのは憔悴しきったバルブの姿だった。
陳述書は既に取られていた。 しかし彼女はそれを見せて欲しいと申し入れた。 署員は始め拒んでいたが、渋々見せてくれた。 彼女は、事故を起こした時のバルブの車のスピードが140kmというところが問題だと思った。 高速道路の制限速度は110km、このままだと確実にスピード違反で、刑務所入りになってしまう。
彼女は、陳述書の訂正をさせようとした。 110kmに訂正させようとすると、証人の抜かされた車は110kmで、そうなると辻褄が合わなくなり、裁判で不利になるのではと言われ る。 証人にも訂正させる必要がある。 彼女はコネを使って証人を見つけ出すことにして、息子をとりあえず家まで連れ出すことの承認を得るのだった。
ここからコルネリアの奮闘が始まるのだが・・・
 
ルーマニア映画は初めて見たもしれません。 地位のある両親の間に生まれた一人っ子のうだつの上がらない30すぎの男が引き起こした人身死亡事故。 それをなんとか不起訴にしようとする過保護な母親。
電話の着信音、レッスン場、パーティー会場くらいのBGM以外は一切音楽が入らないんですが、この着信音が嫌に気になるんですね。 優雅なフレーズの音ですが、これが切羽詰った事故対応の時にかかる電話と相まっています。 そしてお互いわがままな母親と息子、物語としてはイライラの募る展開なんですが、そこに実際に息子と恋人の関係、息子の本当の思いが絡まってきて、そして最後息子を亡くした遺族との対面のシーンは、ある意味盛り上がりは感じます。
でも、その裏に、息子を守りたいがために、息子を過剰に持ち上げ、一種の親ばかなほどの哀れな姿に、ちょっと顔をしかめてしまいました。 バルブという息子も、正直どうしようもない男で、いい年をして幼い甘ったれでしたね。
でも、そんな窮地の母と息子に警察官や、証人達がサラっとたかるシーンもなにかリアルでしたね。
邦画でしたら、もっと過保護な母親をイヤらしく描くところですが、BGMがないのが逆にそこまでえげつなくなっていませんでしたね。 最後のシーンだけがほんの少し救いがあるところでした。 ちょっと居心地の悪い感じの作品でした(G)
 
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妹に愚痴を言うコルネリア
 
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コルネリアの誕生パーティー
 
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妹から連絡が入る、緊張が走る
 
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事故を起こして混乱しているバルブ
 
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母の気持ちに反するバルブ
 
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恋人のカルメンも合流するが
 
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