anttiorbの映画、映像の世界

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ダブリンの時計職人

2010年作品、ダラ・バーン監督、コルム・ミーニィ主演。
 
イギリスのロンドンで働いていたが、失業し、故郷のアイルランド・ダブリンに戻ってきた時計職人のフレッド(コルム・ミーニー)は、海岸の駐車場に車を止め、そこを寝床にしていた。 職が無く、生活保護を求めに手続きに行くが、却下されてしまう。 再び申請書を書けと言われる。 申請し続ける事らしい。 
彼は、父の住んでいた家に行ってみたが、父は亡くなりもう人手に渡っていた。 フレッドはホームレスになったという現実を受け止めきれずに失意の日々を過ごしていた。
ある日、その駐車場に黄色の軽自動車がやって来た。 そこには若い男が2人乗っていた。 そのうちの背が高く温厚そうな男が話しかけてきた。 カハル(コリン・モーガン)と名乗った男は、絶えずマリファナを吸っていた。
フレッドは自分とは違う人種と思い、警戒をしていたが、カハルは体を洗うなら、スポーツセンターに行くのがいいと言われる。 飛び込み台があり、カハルは軽やかに飛び込むが、フレッドは飛び込む勇気がない。 泳げないわけではないのだが。
少しずつ話をしていく中で、カハルは父親に家を追い出されたと言う。 母が亡くなった時、それをカハルのせいに父にされたと言うのだ。 その話をする時のカハルは寂しそうだった。
ある時、ふたり連れの男がやって来た。 あまり人相が良くない。 小声で、カハルと話しているが、それをフレッドが聞くと、カハルは兄の友達だと言ってはぐらかす。 しかしそれは薬の売人だった。 どうやら薬代を滞納しているようだった。 彼はヘロインもやっていると言うのだが、注射はしていないと言って腕を見せる。
スポーツセンターで泳いでいるとき、女の人とぶつかってしまった。 ブロンドの中年女性だが、品があって綺麗な人だった。 彼女はジュールス(ミルカ・アフロス)と名乗った。 フレッドは一目ぼれだったが、所詮ホームレスの自分には何もできないとちょっと空しくなるのだった。
しかし、協会から聞こえる歌声に惹かれそこに入っていくと、なんと彼女がピアノを弾いていた。 再会を喜ぶとともに、話し掛けられ、心が少し暖かくなるフレッドだった…
フレッドはいろんな職をしていたみたいですが、結局故郷に帰ってきました。 しかしもうそこは生まれ育った場所と言うよりは、冷たく自分を迎えてくれた、他人の町でした。
そんな彼に話しかけてくれたのは、ドラッグ中毒のカハルだけでした。
危険な感じのカハルですが、実は彼は優しいんですね。 そしてもう一人彼をかまってくれたのがジュールスでした。
失意のどん底の彼に小さなあかりが二つ灯る瞬間でした。
主人公役のコルム・ミーニィは 「ワンチャンス」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/11305234.html では主人公の父親役を演じていましたが、主役で見るのは初めてです。
しかしここダブリンは彼の出身地なんですね。 そういう思いで見ると、これは彼のために書かれた感じまでしてくる作品でした。
そしてこの作品のもう一方の主役が、カハルですね。 演じているのはコリン・モーガン、彼も北アイルランド出身の俳優らしいです。
彼の悲しみの境遇を良く演じ切っていました。 カハルは、フレッドに何を求めていたのか? どうしてフレッドに対しては優しかったのか? それは彼が持っているある物がポイントになっていました。
一体フレッドの生活は改善されるのか? 儚く悲しい中に、親子の絆、そして故郷をちょっと感じさせる作品でした。(G)
 
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ここが彼の“ホーム”
 
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そこに現れたカハル
 
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しかしカハルはドラッグ中毒だった
 
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カハルには父がいた
 
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そしてフレッドは彼女に出会う
 
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