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わたしは、幸福(フェリシテ)

2016年作品、アラン・ゴミス監督、ヴェロ・ツァンダ・ベヤ パピ・ムパカ ガエタン・クラウディア カサイ・オールスターズ出演。

コンゴ民主共和国の首都キンシャサ。 フランス語で “幸福” を意味する名を持つフェリシテ(ヴェロ・ツァンダ・ベヤ)は、バーで歌いながら、女手ひとつで息子を育てている。 いつも彼女が歌うバーでは、彼女の歌う歌がそこの常連客を魅了する。
人生は彼女に優しくないが、歌うときだけ彼女は輝いていた。 バーの常連のタブー(パピ・ムパカ)は、そんな彼女を気にかけている。
ある日、フェリシテが目を覚ますと直したばかりの冷蔵庫が壊れていた。 近所を走り回っている子に、修理屋を呼んで来てというと、来たのがタブーだった。 修理ができるという彼は、これはファンが壊れているんで、できれば新品を買った方がいいと言われ、壊れない物をと渋々彼にお金を渡す。
そこに電話がかかってくる。 一人息子サモ(ガエタン・クラウディア)が交通事故に遭い重傷を負ってしまったという知らせだった。 連絡を受け病院に駆けつけると、大部屋で寝かされているサモ、無表情で目をつぶっている。 事情を聴いても本人は答えず、ナースと医師が左足に重傷を負っていると説明を受ける。
医者はすぐに手術すれば何とかなるというが、そのために彼女に前払いで大金を払い込む必要がある、でないと手術はできないと告げる。 さらにもっといい部屋に移したい彼女は、薬代と合わせて100万コンゴフランが必要だと言われてしまう。
処方箋を渡され、薬局に行こうとすると、隣のベッドのところにいた女性が薬局に行くんで薬を買って来てあげると言い出す。 その女性に金を渡し疲れて眠ってしまったフェリシテ、しかしその女性は金を持って逃げてしまった。
手術代を集めるためにフェリシテは、必死にバーで歌い、貸した金を警官を連れ強引に取り立て、それでも足りないので、店から、仲間からカンパをしてもらう。 必死にかき集めたお金を持って行くが、まだ足りない。 そして行きたくない親族に行くと、母のことで皮肉を言われ、別れた夫からは罵声を浴びせられ追い払われてしまう。
さらには最後には見ず知らずの金持ちのボスを訪ね、必死に金を恵んでほしいと叫び、追い出されそうになると大声で叫び始める。 根負けしたボスが金を渡すが、急いで行った病院では、衝撃の事実を知らされる。
急な出血で、サモは命の危険があったので左足に膝から下を切断したと言われてしまうのだった。
途方に暮れるフェリシテ、彼女を何とか手助けしようというタブーは、彼なりに励ますのだが、サモは決して彼女から食べ物と勧められても食べず、一切口を利かない。タブーに家にサモを連れ帰る手助けをして病院を退院したが、彼女の中で何かが壊れ、とうとう歌う事が出来なくなってしまう…

セネガルのドラマ作品、舞台はコンゴ民主共和国です。
監督はアラン・ゴミス、日本公開作品は初のようですね。 フランス生まれですが、セネガルギニアピサウがルーツの監督です。
主演はヴェル・ツァンダ・ベヤ、コンゴ民主共和国の女優という事ですが、彼女以外のタブーを演じるパピ・ムパカ、アモを演じるガエタン・クラウディアもみんな映画初出演です、ベヤ以外はオーディションで選ばれたみたいです。

物語は、一人の女性歌手のドラマとなっています。“フェリシテ” という意味は 「幸福」 という意味なんですね。 彼女が金を狩りに行った叔母らしき人は、どうしてお前の名前がそうなったのか、話してくれるシーンがあります。
幼いころ病気になった彼女はそれまでは別の名前でした。 そして重い病気で死んでしまい、いざ埋葬する時になって息を吹き返したそうです。 それからはまた死んでしまわないためにこの縁起のいい名前にしたという事でした。
でもその時の彼女は、そんな自分の名前のいわれなんかどうでもよく、息子のためにお金を作ることに必死でした。 夫とは、彼女がどうしても歌手になってのし上がって行きたいという、夢というか、野望というか、それで出て行った、夫を捨てた、という事なんですね。
冒頭の彼女は世の中に何か不満を持っている、そして変なプライドもあるんですね。歌う姿にそれが現れていますし、まず男を信用していませんね。
しかしそんな彼女も、息子のことが一番かわいいんですね。 ちょっとサモの事故は、オイタをしたから事故に遭った感じですが、彼も何か反抗をしている雰囲気があります。
アフリカの庶民の生活がじっくり見れる作品、洗練された映画ではありませんが、息遣いが聞こえる作品です。

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何かツキがないフェリシテ

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彼女の歌声は人気があった

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その日の疲れを癒すのはこのバーと

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別の場所ではクラシックが

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しかし息子が事故に遭い金策に奔走するフェリシテ

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足を切断した息子とタブー

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