1982年、兵庫県神戸市。 妻・シズミと二人でバッテリー商を営む奥崎謙三は、ニューギニア戦の生き残りであり、69年に、死んだ戦友の怨念をこめて “ヤマザキ、天皇を撃て!” と叫んで天皇にパチンコ玉4個を発射した男である。
奥崎はニューギニアの地に自分の手で埋葬した故・島本一等兵の母を訪ね、彼女をニューギニアの旅に連れていくことを約束した。 奥崎の所属部隊・独立工兵第36連隊で、終戦後23日もたってから “敵前逃亡” の罪で二人の兵士が射殺された事件があったことを知った奥崎は行動を開始した。
その二人の兵士、吉沢徹之助の妹・崎本倫子、野村甚平の弟・寿也とともに、処刑した五人の上官を訪ね、当時の状況を聞き出す。 だが、それぞれ、処刑に立ちあったことは白状したものの、ある者は空砲だったと言い、ある者は二人をはずして引き金を引いたと言う。 いったい誰が彼らを “撃った” のかは不明のままだった。さらに彼らは飢餓状況の中で人肉を食したことをも証言するのだった。 やがて、二人の遺族は奥崎の、時には暴力も辞さない態度からか、同行を辞退した。 奥崎はやむを得ず、妻と知人に遺族の役を演じてもらい、処刑の責任者である古清水元中隊長と対決すべく家を訪ね真相を質す・・・
これも見たかったドキュメンタリーでした。
監督は原一男、作品は初めて見ますね。
主演というか中心人物は奥崎謙三です。
彼の生き様のドキュメンタリーということですが、彼はいったいどういう人物なのか?
逮捕歴は3回、「昭和天皇パチンコ狙撃事件」、「皇室ポルノビラ事件」 そしてこの作品の直後というか、撮影中に、独工兵第36部隊の生き残り元軍曹を殺そうと拳銃を持っていき、そこにいた息子に発砲、殺人未遂罪で逮捕され、懲役12年を求刑されたんですね。
今作は、その独工兵第36部隊で、終戦後に処刑された二人の兵士の殺した理由を糾弾しに行く行為を描いているんですね。 敵前逃亡の罪という事が公の理由ですが、不可解な事が多い。 それは終戦の後、23日経っての出来事だったこと。
戦争が終わったのに敵前逃亡とは? なかなか関係者が隠しているのですが、死んだ遺族を連れて生き残っている関係者を訪ねていき、そこで奥崎氏は強烈な口調で真実に迫るんですね。
しかし上官ほど、必死に隠そうとします。 時には暴力も辞さない強引な方法で、奥崎はとことんやり抜こうとする中、徐々に真実が浮かび上がってきます。 それは本当に戦争の恐ろしさ、醜さ、そして耐え難いものなんですね。
終戦直前の前線部隊は、食糧も、武器ももう底を尽き、生き残る為にはなんでもしていた、悲惨な状況が浮き彫りになるシーンは、迫力というか、鬼気迫るものでした。
戦争責任は誰が取るのか? その信念は彼独特ですが、認めるかどうかは置いといて、彼独自の考えに反戦があることはわかります。
友人の結婚式に出る奥崎氏
彼の街宣車
ある事件の全容解明が彼の目的となる
そして強硬手段で暴力も
奥さんとともに