彼はそろそろ帰国を考えていた。 それは青竜寺での修業が叶いそうもないことからだった。 そのころ、世界最大の都・長安の街では、権力者が次々と奇妙な死を遂げるという、王朝を震撼させる怪事件が起こっていた。
空海は白楽天とともに、公邸にお目通りが叶うが、奇怪な症状をした皇帝は空海のこともわからないありさまで、苦しみながら息絶えてしまう。 側近たちは、皇帝は風邪をこじらせて崩御したという事にしてしまう。 そこで聞こえたのは猫の鳴き声であり、空海ははっきりと黒猫の姿を見た事で、皇帝は猫を飼っていたのでは?と、白居易に聞くが、彼ははっきりとわからないと答えるのだった。
一方、陳雲樵(チン・ハオ)の館にいて、夫の帰りを待っていた春琴(キティ・チャン)のもとにも黒猫がやってくる。 そしてなんと人間の言葉を話す黒猫は、ある場所を掘ってみろというのだった。 夫が帰ってきて、黒猫がそう言ったというと、半信半疑でそこを掘る陳雲樵。 そこには壺に入った大金が埋まっていた。
陳雲樵は大きな宴を催すが、たまたまそこに居合わせたのが空海と、白居易だった。 盛大な宴は、一瞬のうちに暗転する。 黒猫が現れ、金のありかを教えた見返りがないと宴をかき乱すだけでなく、陳雲樵の顔に傷を負わせ、春琴に何かを飲ませてしまう。
意識不明となり、苦しみだす春琴。 空海は彼女の症状を見て生肉を用意させ、詰めの先に傷をつけると、生肉に群がる虫が出現する。
二人は、一連の事件を探るうち、約50年前に同じく唐に渡ったもう一人の日本人・阿倍仲麻呂(阿部寛)の存在を知る。 仲麻呂が玄宗皇帝(チャン・ルーイー)に仕えた時代には、国中を狂わせた絶世の美女、楊貴妃(チャン・ロンロン)がいた。
極楽の宴、妖猫の呪い、楊貴妃の真実、二人は歴史を揺るがす巨大な謎に迫っていくのだった…
空海の伝記映画化?そう思って見てはいけない作品ですね(^^)
監督はチェン・カイコー、私は作品をはじめて見ます。
主演は染谷奨太、近作は 「予兆 散歩する侵略者 劇場版」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15242232.html となります。
そしてホアン・シュアン、「グレートウォール」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14866469.html に出ていましたね。
楊貴妃役はチャン・ロン・ロン、はじめて見る超綺麗な女優さんですね。 フランス人と台湾人のハーフということですが、いやー見とれてしまいます。
物語は、 長安に留学生として渡ったころの若き空海のお話ですね。 日本からの遣唐使の一団に参加した空海、荒れ狂う日本海の海に阻まれましたが、何とかたどり着いた空海、若いのに、早くも生死の境をさまよった時に、悟ったような人間になっています。
ポイントは、白居易と街を歩いている時に見つけた幻術使いですね。 スイカの大道芸を見せてくれますが、中国ではこういう幻術、妖術を使う存在が昔の作品には多く出てきますね。 今でいう手品の部類なんでしょうが、どういう手法なのかはわかりません。 しかしある種催眠術のようなもんなんでしょうね。 かからない人もいる感じで、空海はそれを見抜いて行きます。
さてこの作品、日本に戻って最澄とともに、日本の宗教界の代表的な僧侶となっ た伝記映画ではなく、CGをふんだんに使った、ダークファンタジーなんですね。「空海」と、阿部寛、松坂慶子が出ているんで年輩のお客さんが多かったですが、ちょっと意表を突かれたことでしょう。
ただ、染谷奨太が演じている時点で、そういったある種歴史的、宗教的、学術的な作品とはちょっと趣が違う事は予想されましたが、ここまで思い切りが良いのは驚きました。
騙されたと思うか、変わった作品が見れたと思うかは、それぞれだと思いますが(^^)