広島県・尾道市。 斉藤一夫(尾美としのり)は8ミリ好きの中学三年生で、悪友たちと女子更衣室をのぞいたり悪ガキぶりを発揮するごく普通の少年である。 そんな彼のクラスにある日、斉藤一美(小林聡美)という、ちょっとキュートな少女が転校して来た。
一美が大野先生に紹介された途端、一夫を見て叫んだ 「もしかしてあなた一緒に幼稚園に行っていたデベソの一夫ちゃんじゃない?」 二人は幼馴染みだったのだ。久しぶりに一夫と再会した一美は大喜びだが、子供の頃の自分の恥部を知られている一夫にとっては大迷惑。
その日の帰り道、神社の階段の上で、一夫はつきまとう一美めがけてコーラの空缶を蹴飛ばした。 驚いた一美は階段から落ちそうになり、一夫は押さえようと抱きつくが、二人はそのままころ げ落ちた。
しばらくたって二人は意識をとり戻し、それぞれの家に帰るのだが、二人の体が入れ替っていることに気がつき、愕然とする。 男の子の体になってしまった一美は泣き出すが、とりあえず、お互いの家族、友人の中で生活することにした。
突然、男っぽくなった一美や、逆に女っぽくなった一夫にそれぞれの家族は戸惑うが、まさか入れ替っているなどとは考えてもみない。 学校でも一夫が突然勉強ができるようになって周囲が驚くのだが、悪友たちがオカマっぽくなった一夫をからかうと、一美が怒って連中をのしてしまうのだ。
そんなある日、一美はボーイフレンドの弘(山中康仁)と会うことになった。 一夫は一美を演じているうちに弘をからかったため、一美を怒らせてしまう。
やがて、一夫が父の転勤で 横浜に引っ越すことになった。 いつまでたっても元に戻らぬ二人は、絶望的になっていき、特に一美は自殺を考えるまで追い込まれてしまう・・・
尾道三部作の1本目は、レギュラーのような尾美としのりと、今作は小林聡美が相手役でした。 2本目の「時をかける少女」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13511700.html はこちらを参照してください。
小林聡美は、金八先生のレギュラーから、この作品で大きな評価を受け、女優の道を突っ走って今はしっかりとした演技派の売れっ子女優ですね。 近作は 「海よりもまだ深く」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14165839.html です。
一方の尾美としのりは、主役級ではありませんが、父親役だったりで、今でも多くの作品に出演しています。 近作は「めがみさま」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14987076.html になりますか。
物語は、体の中身が入れ替わった男女のお話、階段から落ちて入れ替わるって、この後いろんな作品でも使われますね。 魂が交換されるってことですか? 尾道では、不思議なことが起こる土壌という事なんでしょうか?
面白いのは、自然に戻ることを期待している二人、同じシチュエーションで実験などはあまりしようとはしないところですね。 そして周りも急に対照的になった二人にあまり気に止めません。 それは一美の方が転校生だったからかもしれませんね。
しかしそのなかで、たった一人もしかしたらと疑っていた同級生がいました。 しかし彼女もどうしたらいいかの対処法までは言ってはくれません。 そしてとうとう、一夫の引っ越しが迫ってくるんですが。
この作品、当時思春期の小林聡美の体当たりの演技がけっこう話題になりましたね。 上半身ヌードになる彼女ですが、男としてのふるまいなんで、色気なんて全くないところが却って微笑ましい。 しかし演じている方は、抵抗があったでしょうね。
これラストがあまりにも切ないんですよね。 これは続編ができても見たくなりますが、エピローグ程度にしかなりえないでしょう。
更衣室に忍び込む一夫たち
転校生の一美がやってくる
そして階段から落ちたとき
こころが入れ替わってしまう
一生このままなのか?